開発コンサルタントとは?

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援助に欠かせぬプロフェッショナル
問われるのは「専門性」と「技術力」そして「企画力」


  開発コンサルティング企業で働きたい方はこちらをご参考ください。

人間生活のあらゆる領域をカバー

 国連や世界銀行などの国際機関、あるいは日本のJICA(国際協力機構)のスタッフたちは、いわば「開発行政官」的な立場から途上国援助に携わっている。その業務は、国別・地域別の視点から途上国援助を企画・立案したり、開発プロジェクトの効果的な運営管理などが主体で「開発援助の演出家」という捉え方もできるだろう。
 これに対し、高度な専門技術と経験を背景に、実際に現地でさまざま調査や具体的な作業を実施し、中立的な立場から援助プランをひとつひとつ実現していく、頼もしいパートナーが「開発コンサルタント」である。
 開発コンサルタントが対象とする仕事は幅広く、しかも国際協力事業の高度化・複雑化に伴い、その専門能力が求められる裾野はますます広がる一方だ。具体的な仕事の内容は、一国の開発計画の作成支援業務などから、たとえば橋を架けたり、道路を整備したり、農村の小規模な給水施設をつくったり、とプロジェクトの内容、規模とも実に多彩である。分野的にも農業、林業、水資源開発、運輸・交通(港湾、道路、空港など)、鉱工業、エネルギーから、保健・医療、教育、経済、行政、社会一般までと、途上国援助がおよそ人間の生活と生産のすべての分野にかかわってくるように、コンサルタントの仕事も人間生活のあらゆる領域をカバーしている。

技術力と専門性

 分野的な傾向としては、ここ数年、途上国の政策支援や民主化・市場経済化支援、地球環境、人口・エイズ、地雷対策、社会的弱者(子供や女性、身体障害者、失業者など)対応などが大きくクローズアップされてきており、援助ニーズの多角化・高度化の波は、なお一層強まっている。それに伴い、開発コンサルタントの技術力と専門性の多様化、向上は、避けて通ることのできない、いわば“時代の要請”となっており、コンサルティング業界では、優秀な人材のリクルート、育成にかつてなくアグレッシブな姿勢で臨んでいる。

社会人採用に大きなウエイト

 開発コンサルタントの立場は、たとえば民間のコンサルティング企業の社員であったり、大学の教員やシンクタンクの研究員であったり、あるいはフリーランスの専門家であったりと、さまざまだ。ただ日本の場合は、開発コンサルタントといえば、民間のコンサルティング企業の社員を意味することが多く、実際、彼らが開発援助プロジェクトのあらゆる局面で大きな力を発揮している。したがって、就職を考えるなら、まずはこうした企業が第一のターゲットとなる。
 採用スタイルは企業により各社各様であるが、全体的な傾向を見ると、しっかりとした経験を持ち、即戦力として期待される「社会人(中途)採用」に大きな比重が置かれている。採用の目安を各社に取材してみると「専門分野における実務経験5年以上」「年齢30〜40歳ぐらいまで」というのが一般的になっている。

新卒採用は理系が中心

 日本の開発コンサルティング企業は、道路や橋、港湾、ダム建設などを得意とするエンジニアリング系が依然、主体となっており、技術系のコンサルタントが多数派を占めているのが現状だ。したがって、新卒採用は、土木、建築、工学など理系の学卒、院卒が中心となっている。
 ただ、一部の大手企業を除き、コンサルタント企業の多くは中小企業であり、新卒を大量に採用して社内で育てる余裕がないところがほとんど。そのため、理系の新卒であってもある程度、即戦力として対応できる人材が求められており、英語力など何らかの付加価値があると断然有利だ。学生時代に身につけておきたい英語力は「英検準1級」程度。
 就職準備としては、
(1) 各企業の専門・得意分野についての情報を収集し、自分の得意分野と合致するところを絞りこむ。
(2) 絞りこんだ企業にOBが就職している場合は、必ず訪問し、実際の業務内容や職場環境を探る(国内と海外の比率、海外業務に対する基本スタンスなども、ぜひ聞いておきたい)。
(3) ゼミなどの担当教授の推薦を得る(特に理系の場合、学会などを通しコンサルタント企業に“顔の効く“教授が結構いる。A教授のゼミ生から毎年何人、という採用形態をとっているという企業も実際ある)。
 最近は、ほとんどのコンサルタント企業がホームページを開設している。採用や業務内容に関する情報収集のツールとして積極的に活用したい。

注目されるソフト・コンサルタントの成長

 一方、文科系の新卒については厳しい情勢が続いているものの、援助ニーズの多様化などに伴い、いわゆるソフト系コンサルタントの成長も著しく、エンジニアリングにとどまらず、幅広い専門能力と知見が求められているのも事実。こうした状況から、文科系の活躍の裾野は着実に広がっているが、その数はまだ限定されているのが現状といえるだろう。
 したがって、学部卒でいきなり社会経済系のコンサルタントとして採用されるケースは希であり、一般的には留学などで学位を取得するとともに、英語力を研くこと(併せてフランス語、スペイン語などの第2言語を取得しておくと有利)、経済社会関連分野で実務経験を積むことが重要である。
 冒頭に説明したとおり、開発コンサルタントの仕事は「人間生活のあらゆる領域をカバー」している。どのような業種であれ、いったん就職し、自分なりの専門性を見つけ高めていくとともに、少しでも途上国経験を積んでおくなどのアプローチも考えられよう。決して“遠回り”ではない。

語学力と企画力

コンサルタント企業によっては「インターン」や「アシスタント・コンサルタント」制度を設けているところもあり、とくに文科系にとってはひとつの“登竜門”として見逃せない制度であろう。情報収集に努め、少しでも可能性があるのならば学生のうちから積極的にアプローチしておこう。
 また、文科系の新卒がコンサルタント企業の総務や経理セクションに就職する手もある。そこで、先輩コンサルタントの仕事を手伝ったり(調査報告書の作成補助など)、ミーティングに出席させてもらいながら仕事を覚えていくのだ。現実に、こうした努力により、アシスタント的な仕事を任されている若手社員もいるのである。
 「語学力」と「企画力」、とくに文系の人間に期待されるのはこの2つの能力であり、今から自覚を深め、日々、鍛錬していくべきであろう。いずれにしても志望する会社があるならば、メールや電話で直接問い合わせるなどして、具体的な情報を集めることをお勧めする。



援助事業における開発コンサルタントの仕事

(下図をクリックすると拡大表示します)





[出典:国際協力ガイド2002/(株)国際開発ジャーナル社]

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