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「日本の防波堤が首都を守った」
モルディブ・マレ島の護岸プロジェクト

「日本の支援がなかったら、マレはなくなっていただろう」
 インド洋に浮かぶ約200の島からなるモルディブは、今回の津波で14の島が壊滅的な被害を受け多数の死傷者がでる惨事となりましたが、首都であるマレ島は島全土の70%が冠水したものの、奇跡的に死傷者が発生しませんでした。これが15年に亘って日本のODA(政府開発援助)によって行われた護岸工事の効果によるものであることはメディアでも広く取り上げられました。本ページではECFA会員企業が携わったこのプロジェクトおよび現在のマレの状況などについてご紹介いたします。

護岸建設プロジェクトについて
1987年、突如3メートルの高波がモルディブの首都マレ島を襲いました。マレ島はサンゴ洲島(サンゴ礁に囲まれた高い部分に砂が堆積してできた島)のため低地で護岸工事も不十分であったため、島の3分の1が冠水し、甚大な被害がでました。
日本政府は緊急援助隊の派遣を経て、無償資金協力で護岸を建設することとなりました。このプロジェクトには下記の特徴がありました。

・超過密都市であるマレ島の現状を考え、海岸施設が防災機能だけでなく市民にとって親しみのあるものとなるように計画した。
・護岸工事に使用できる建設材料はマレ島では調達できないため、東南アジアから海上輸送した。
・コンクリートを混合するために使う淡水も不足しているため、淡水化プラントで造水した。



メディアでの紹介
毎日新聞

「日本の防波壁が首都を守った」モルディブ
 「日本の支援がなかったら、マレはなくなっていただろう」−−。モルディブの人口の約3分の1が住む首都マレでは、日本からの公的支援で建設された防波壁が、島を津波の大惨事から守ってくれたとの見方が広がっている。海抜1メートル程度しかない約1200の島々から成る同国は地球温暖化の進行で国全体が沈みかねないとの不安を抱え、常に海面上昇への恐怖と隣り合わせで生きてきたが、88年以降、進めてきた首都の護岸工事が壊滅的な被害を回避するのに貢献したと、島民は口々に語った。
 災害対策本部の置かれたマレ市のイスカンダール小学校校庭でボランティア活動を指揮する元オリンピックマラソン選手のフセイン・ハリームさん(35)。彼になぜマレは3分の2が冠水しながらも死者が出なかったのだろうと尋ねた。するとすぐに答えが返ってきた。「10年以上かけて作った防波壁が大いに助けになった。日本の援助のおかげだと聞いている」
 その防波壁を見たくて市南部の海岸まで案内してもらったタクシー運転手のアハメド・シャフィールさん(30)も「日本が作ってくれたあの壁がなかったら今ごろマレはもうない」と語り、「助けてくれた日本人からこんな時に金を受け取るわけにはいかない」と決して料金を言ってくれなかった。
 大統領府によると、日本はモルディブ最大の援助供与国で13年をかけた防波壁工事の費用6600万ドルの主要部分を日本の援助が支えたという。南部の海岸通りには、「日本とモルディブの友好のため日本政府が提供した支援で作られた」と消波ブロックに記した記念碑が海に向かって建っていた。
(2004年12月28日)

アブドラ・モルディブ情報相、毎日新聞と会見
 モルディブのアハメド・アブドラ情報・芸術・文化相は29日、毎日新聞と会見し、今回同国や東南アジア諸国などを襲った津波について「国境を越えた観測・早期警戒体制の必要性に我々の目を見開かせた」と述べ、今後の国際協力の強化を訴えた。また平均海抜1メートルと国土が極端に低いモルディブが津波や地球温暖化の影響から国土を守るためには、「危機にもろい小さな島からより規模の大きい島に人口を集約する必要がある」と語り、ガユーム政権が推進する移住計画の正当性を強調、国際支援の提供を求めた。
 情報相はまた「(劣悪な衛生状態からくる)伝染病発生が今後最大の脅威で、防止は時間との闘いになっている」と語り、特に飲料水の確保が最大課題と強調。「安全な水を離島の被災地区に早期供給する必要があるが自力では難しく、海外からの支援が欠かせない」と協力を呼びかけた。
 一方、モルディブ経済が依存する観光業は、多くのリゾート施設が被害を受けるという直接的影響のほか、再発への懸念から観光客が減少する可能性に直面している。同相は「災害から復興するためにも観光収入の増加が必要で、客足が衰えないことを願っている」と期待を表明した。
(2004年12月31日 東京朝刊



被災後のマレ島

  

写真提供:
(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル 折下定氏(2枚とも)

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