AJCE2003年次セミナー わが国コンサルタントの国際市場への展開:今、新たなチャレンジ
|開催趣旨|基調講演の概要|パネルディスカッション総括|
日本工営株式会社 畑尾成道
開催趣旨
本年度の年次セミナーを平成15年11月27日(木)に開催しました。昨年のセミナーのテーマは「社会資本整備事業におけるコンサルタントの役割」でしたが、今年度は「わが国コンサルタントの国際市場への展開:今、新たなチャレンジ」に決まりました。
昨年のセミナーでは国内公共事業における従来型コンサルティングサービスの減少もあり、より総合的なサービスや民意反映・参加型プロジェクト等へ参入する可能性を探りました。公共事業に対する社会的要求を考えた場合、施主、コンサルタント、施行業者の関係を三者構造として捉え、そこに新たなサービスの可能性があることも議論されました。
一方で、経済のボーダレス化やグローバライゼーションは好むと好まざるにかかわらず進展しています。コンサルタント業だけがそれとは無関係に存在することはできません。平成15年3月のWWF3(京都水フォーラム)の際に訪日されたFIDICペダーソン会長との懇談会で、同会長から「日本のコンサルタントの海外業務比率や民間事業比率の低さ」に関しコメントがありました。国内市場の縮小という背景もありますが、もっと本来的な問題としてコンサルタントの海外展開を考える必要があり、他の企業と同様、海外に活路は見出せないかというのが今回テーマの原点です。コンサルタントの位置付け、役割、海外展開についてはすでに多くの議論が行われており、テーマについては「今更、またか」という印象もありますので、副題として「今、新たなチャレンジ」と付け加えました。また、本セミナーは平成16年5月に開催される30周年記念シンポジウムの序章とも捉えています。
海外業務を行っている本邦コンサルタントはいますが、そのほとんどは日本のODA関連事業への参加であり、国際機関が発注する業務への参加は極めて少ないことが指摘されています。海外展開のひとつとしてNon-ODA事業への参加が考えられます。もうひとつは民間事業に参加することが考えられます。したがって、基調講演を元世銀オフィサーで現在欧州復興開発銀行リエゾンオフィサーの矢口哲雄氏とPFIという新たなビジネスモードに参加されているパシフィックコンサルタント(株)の八島雄一郎氏にお願いしました。またお二人にはそのあとのパネルデスカションにも参加していただきました。
国際経済社会の変化は驚くほど速いことを認めざるをえません。当時、新鮮に思えた概念はすぐに常識化します。また先進国のコンサルタントも途上国のコンサルタントの追い上げを受けています。中国がWTO(世界貿易機構)に加盟し、ASEAN諸国とのFTA(自由貿易協定)締結めざしています。わが国のコンサルタントは日本市場で培った高い技術水準をもとに、国際市場の場で競争力をつけ、日本経済再構築の一翼を担うことが期待されています。わが国のコンサルタントが抱える課題を分析し、コンサルタントの海外展開の意義、目的、可能性と制約条件、方向性につき議論し、国際市場展開の足掛かりになればと切に思う次第です。
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