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AJCE2004年次セミナー報告

株式会社ニュージェック顧問
技術研修委員会副委員長 竹村陽一

QBSセミナー報告

テーマ:「コンサルタントの選定はどうあるべきか?−国内外の事例を通じて公共の利益を目指すQBSを考える」

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昨年11月に日本工営株式会社本社会議室において、AJCEセミナー2004が開催されました。テーマは同年5月のAJCE創立30周年記念シンポジウムで米国のソモプラスFIDIC理事が発表した「QBS」を再びとり上げ、AJCE会員がその理念をより深く理解し、AJCEの基本ポジションを確立し、また、その普及に如何にして取り組むか、具体的な行動計画を生み出すための議論の機会として企画されました。

本稿は企画からセミナーでの講演内容と自由討論そして、それらの総括などについて報告するものです。

1.企画段階で考えたこと

5月のAJCE創立30周年記念シンポジウムの模様は建設業界紙でも大きく報道され、「日本のコンサルタントは自立を」、「値段の安さではなく、高い品質こそが公共の利益」、「建築家・技術者の選定にはQBSが最も有効」などのキャプションが目をひきました。

もっと、いろいろの事例、特にQBSとQCBSの比較を知りたいと云う声が聞かれましたので、事務局から海外の関係者に情報収集のメールが送られました。

その中から出てきたのが米国エンジニアリング企業協会(American Council of Engineering Companies、6,000社 30万人)のウエブサイト(www.acec.org)です。ここで「QBS」で検索しますと、8月現在で185項目のデータがあることが解りました。この中から参考になると思われる約15項目の情報/データを抽出して抄訳を行い、セミナーでの材料として提供することにしました。

また、技術研修委員会でも議論を深め、セミナーのシナリオを構想しました。その中で出た主な論点は次のようです。

  • 建設コンサルタンツ協会でも特別委員会によって検討が始められていること。
  • 発注者や国民を説得できないでいる。何故か?概論で終わっているからである。
  • 業界の利益だけで、提唱しているととられる。
  • 国内および諸外国の事例をよく調べて、具体的な対処方法を議論すべきである。
2.セミナーの構成と各講演の要旨

これらの事前の議論を踏まえて、セミナーの構成を前半の事例発表と後半のフリー・ディスカッション、そして締めくくりの総括の3段階としました。

事例発表は最初に、「AJCE創立30周年記念シンポジウムのレビュー」を狩谷FIDIC Policy推進分科会長にお願いし、続いて「米国におけるQBSの事例」を横川QBS分科会委員が講演し、最後に「日本におけるQBSを取り巻く動向の紹介」を河上QBS分科会長が行いました。

セミナーの当日は「予稿集・参考資料」を配布し、別添資料としてコンサルタント業界の4協会で新しく作成された「先進国におけるコンサルタントの選定方法」のパンフレットも加えられました。「予稿集・参考資料」には各講演者の発表内容および関連する参考資料のほか、「フリー・ディスカッションのための話題」を含みました。また、巻末の参考資料は前述のACECのウエブサイトから抽出して、技術研修委員会と国際活動委員会が分担して抄訳した14編の資料を添付しました。

セミナーは都丸AJCE会長の開会の辞から始まりました。

都丸会長は、これからの社会資本整備を国民のニーズに合わせて進めていくためには、コンサルタントの役割が重要であり、その選定方法は品質要素を重視する「QBS」が適切である。すでに「プロポーザル方式」が一部で採用されており、この方式は技術提案によって選定し、価格は随意契約を原則としているから「QBS」といえる。また、議員立法で国会に提出されている「公共工事の品質確保に関する法案」は品質要素を重視しているが、会計法の枠内であり、「QCBS」の原則である。公共工事の品質に関して非常に重要な役割を果たすコンサルタントは「QBS」によるべきであるが、このセミナーにおいて諸外国の事例もよく勉強して、日本の国に最も適した方法を、AJCEとして確信を持って提言できるよう、十分な議論を期待したい、むねが述べられました。

以下に、続いて行われた各講演の要旨を述べます。

狩谷分科会長の「AJCE創立30周年記念シンポジウムのレビュー」はシンポジウムのテーマであった「コンサルティング・エンジニアの挑戦と解決」という幅広いトピックスの中から特に「QBS」に視点をあててレビューを行いました。その主な点は次のとおりです。

R. Kell FIDIC会長の基調講演に関しては、「価格による業者選定は、過去から現在にいたるまで、根強く実施されているが、低品質の問題に苦しむ状況が現実にある」という指摘があったこと、FIDICは「QBS」が有益であると推奨し、その推進を重要な公約としていること、をあげています。

また、パネル・ディスカッションにおける都丸AJCE会長の講演では国民が納得する公共事業調達の仕組みが必要で、その良いモデルが「QBS」ではないか、との問いかけがあったことをあげました。

米国の「QBS」を詳述したソモプラスFIDIC理事の講演に関しては、米国の公共事業に関する「建築家・技術者」の調達方法の歴史、即ち、政府機関による直営の時代から、「建築家・技術者」への発注を法制化した1939年の随意契約方式があり、その弊害があらわとなって「価格要素」の必要が議会に報告されたが、ブルックス下院議員が「品質要素」の重要性を主張して、1972年に「QBS」を義務づける「ブルックス法」が制定された点をとりあげた後、米国フロリダ州の「QBS」とメリーランド州の「QCBS」の事例比較で、前者がコストおよび時間の両方で優位であったことをとりあげました。

畑尾技術研修委員会長をモデレーターとしたパネル・ディスカッションに関して、とり上げられた主な論点は次のとりです。

  • オーストラリアでは「QCBS」が主流であるが、DBプロジェクトは「QBS」が多い。
  • 「QBS」を議論するとき、コンサルティング・エンジニアの果たす機能が明確にされなければならない。
  • 国民は選定方法の違いが理解できないで、安いほうが良いと考える。
  • 発注者はよく理解しているところもあるが、そうでないところも多い。発注者の能力がカギをにぎる。
  • 韓国の発注者はコンサルタントの評価をインターネットで公表している。
  • 日本に適した「QBS」を発注者と一緒に検討し実現して行かねばならない。
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