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AJCE2005年次セミナー報告

日本工営株式会社
常務執行役員
技術研修委員会委員長 畑尾成道

セミナー報告

「コンサルティングサービスの品質確保・向上にむけて」

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2005年度のAJCE年次セミナーのテーマは「コンサルティングサービスの品質確保・向上にむけて」とし11月11日に開催された。

本テーマ選定の動機のひとつは「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」が平成17年4月に施行されたことにある。品質の確保については様々な場で議論がなされているが、「品確法」により公共構造物の品質確保の重要性が法的に規定されたことを踏まえ、品質について再度考えてみようというのが背景にあった。このセミナー通じて「CEに求められる品質とは、または品質確保の具体策とは」についての議論が深まることが期待された。

本セミナーは下記のプログラムと講師によって行われた。
1. 公共工事品確法とコンサルティングサービスの品質について:廣谷彰彦 AJCE会長
2. 国際機関のコンサルタント調達(QCBSの現状と課題):横川真理子 日本工営(株) 海外カンパニー営業部課長
3. (株)日本設計の品質確保について:倉斗道夫 (株)日本設計 常務執行役員
4. パネルディスカション
  司会:山下佳彦 技術研修委員会副委員長、(株)建設技術研究所、技術本部国際部部長
  パネラー:呉肇梁 (株)日水コン、総務本部品質・環境推進部長
堤安希佳 (株)オリエンタルコンサルタンツ、マネジメント・品質室室長
河上英二 (株)建設技術研究所、経営企画室次長
定村寛文 日本工営(株)、海外カンパニー 品質・環境管理室室長

まず廣谷会長から平成17年4月に施行された公共工事品確法について目的、経緯・背景、概要・要旨、会計法との関係、関連ガイドラインの策定、期待される効果につき説明があった。本法律の目的は「公共工事の品質確保の促進を図り、国民の福祉の向上および国民経済の健全な発展に寄与すること」となっている。品質確保については工事のみならず設計を担当するコンサルタントにもその責務が課せられることになる。尚、従来の会計法では原則、最低価格の応札者を落札者としていたが、価格のみで決められないものについては総合的に評価して決めてもよいとされていた。今回の「品確法」では上記の但し書き部分を補完する特例法として位置付けられるとの説明があった。これに関しQBS方式やプロポーザル方式の妥当性と必要性が強調され、施行にあたっての具体的な手続きや方法に関する問題点の指摘があった。また談合防止策への影響や設計・施工一括発注方式(デザインビルド方式)採用との関係についても言及があった。

ここ数年、AJCEはコンサルティングサービスの内容、すなわちサービスの質はコンサルタントの調達方法に大きく影響される部分があると考え議論を継続してきた。 本セミナーのテーマはQBS/QCBS(技術審査による選定/技術・価格併用審査による選定)の議論にも関係するものと捉え、国際機関の主流となっているQCBSの現況につき横川課長に説明を求めた。尚、JICA入札は原則、QBSによって行われるが1位と2位の技術点が僅差の場合は価格も考慮して評価されること、またJBICのSAF案件や有償案件のコンサル選定ではQBSが適用されるとの紹介があった。尚、ADBでは9割の案件にQCBSが適用され、そのうち約8割は技術点1位の応札者が選定されているが、低価格応札者が参入する場合にはその限りではないとの由。

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