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2007年 日豪交換研修 総括

株式会社建設技術研究所 管理本部副本部長
技術研修委員会副委員長 金井恵一

昨年9月、FIDIC年次大会の開かれていたブダペストで私たちAJCEの5名のメンバーは、豪州協会(ACEA)の会長、次期会長、事務局長の3名と朝食の席で向き合っていた。目的は、2006年の交換研修が豪州側の事情によりキャンセルされたことに端を発した、研修制度の見直しと今後の方向性の議論。豪州側の「事情」の詳細がわからないまま、出発前の打合せでは制度打ち切りへの観測も出ていた状況下、若干の緊張感をもって臨んだ会合であった。

 豪州との交換研修制度は、1995年に締結された日豪覚書に基づいて翌96年から始まった両国の若手エンジニアの相互訪問・研修のプログラムであり、ここで培われた人脈や関係を生かした共同ビジネス発掘への展開を目指したものである。以来、10年間にわたり合計90名を超えるヤングプロフェッショナルが学んでおり、FIDICの中でも成功例として注目を集めてきた研修制度である。ただ、10年の間に一種のマンネリ化が進行し、受入会社側は「お客さん扱い」、研修生側も「旅行気分」になりつつあったことは否めなかった。また、特に豪州側にとっては、10年経っても当初の目的のひとつであったビジネスへの展開が思うように進まなかったことも「事情」の重要な一項目であることは間違いなかった。

 さて、前記の朝食会合であるが、幸いなことに豪州側も長期的に見た関係構築と人材育成の観点から、交流を続けることについては基本的に賛成であった。ただ、上述の問題意識は持っており、今後更に継続発展させるためには、いくつかの点で見直しが必要であるとの見解で一致、さらに議論を重ねた結果として、次のような改善案を実施することとなった。

(1)滞在中だけを研修期間と捉えるのでなく、事前に数ヶ月の「対話期間」を設けて研修 生と受入会社側がお互いに理解しあう準備期間とし、これも含めて研修期間と認識する。
(2)研修生選定に際しては、研修生、受入会社双方の業務経歴や希望等を十分に勘案し、ベストマッチの実現に努力する。
(3)滞在中の全期間をホームステイとすることは双方の負担が大きく、基本的に社員寮   やゲストハウス、長期滞在ホテルなどを利用し、ホームステイは週末行事とする。
(4)将来のビジネスへの展開を可能にするためには、研修で作り上げた人脈を維持してゆくことが重要であり、研修終了後の事後フォローにも力を入れる。

 以上の経緯を経て2年ぶりに6人の研修生を迎え入れた2007年の交換研修(YPEP2007)は、 11月2日のヤングサミットでその滞在研修を無事終了した。改善案に沿っていくつかの新し い試みを実施したが、眼目のひとつである「対話期間」については内容の濃淡はあったもの の、初日の全体会議での研修生の発表内容などにその効果が認められ、何よりもお互いにあ る程度予備知識をもつことでスムースに滞在研修に入ることができたと考えている。また、 宿泊は全員、都心のウィークリーマンションに滞在してもらったが、研修生にも好評で、こ の面での受け入れ側の負担も大幅に軽減されたものと思われる。今年は新企画の初回であり、 今後関係者の皆さんからいろいろご意見をいただいた上で、更に充実した研修制度を作り上 げていきたいと考えている。今回参加された研修生と受入に携わられた方々との良好な関係 が末長く続き、交換研修を通じたネットワークが拡がっていくことを期待したい。

 日豪交換研修も今年は11回目にあたり、いくつかの新機軸を加えて新たな時代に入りました。これまでもそうであったように、本研修制度は、ひとえに会員企業の積極的な参画にその存続がかかっております。今回、受入れをご快諾いただいた各企業に対しあつく御礼を申し上げるとともに、今後より多くの会員の皆様のご支援をいただきますよう、お願い申し上げます。

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