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セミナー・フォーラム参加報告

第3回世界水フォーラム(WWF3)参加報告

<AJCE各委員会報告>
 会員委員会報告:FIDICメンバーの強みは何か
会員委員会委員長 遠藤信雄氏

4月16日早朝、第3回世界水フォーラム開会式場でペダーセン会長にお会いしました。このときコストを考慮したコンサルタント選定(QCBS)にいかに対処するか、遵法営業(BIMS)をどう進めるか質問しました。この二つの質問については会員委員会の質問とは主旨が違いますので、ペダーセン会長の返事は後回しにして本論に入ります。

企業会員が減少していること、企業内会員が増加していること、この結果、会員数そのものは概ね維持できているが、大口納入会員である企業会員が減っているため会費収入が減少していること、これらが添付図を用いてペダーセン会長にお伝えしたことです。企業会員の減少は国内公共事業削減に起因する市場環境に起因することは明らかですが、この点についてペダーセン会長の意見は意外なものでした。「公共事業が縮小しても、民間市場がある」ペダーセン会長の意見です。欧州コンサルタント企業は売上の半分程度を民間市場からあげているとのことです。公共事業一辺倒からの転換、民間企業への地道な営業努力が当たり前になる日は遠くなさそうです。

4月19日の会議でペダーセン会長に質問したのは、欧州FIDICメンバー協会会員にとって会員であることのメリットは何か、会員維持あるいは入会促進のためにどのような施策をとっているか、外国企業の支社・連絡事務所等の入会を認めているかの3点でした。

第1番目の点、欧州FIDICメンバー協会会員のメリットは、協会が当該国のコンサルティング企業を代表する立場で、個々の企業が行うより遙かに効果的に政府や世論に訴えることができることにある。個々の企業にとって協会はスポークスマンである。協会という立場を利用することにより、政府諸機関へ容易にアクセスできることもメリットだとペダーセン会長は述べていました。

第2番目の点、会員維持と入会促進のためにはとにかく動き回ることだとペダーセン会長は言います。何事にも王道なし、ということでしょうか。欧州MAは、コンサルティング業務に従事しているエンジニア以外の専門家、企業内専門家にも会員資格を認め、入会勧誘を行っているとのことでした。入会促進のためには協会の「存在感」が必要であり、一つの国で一つのスポークスマン的協会がベストだという強い信念をペダーセン会長はお持ちのようでした。話を脇にそらしますが、ペダーセン会長の話を聞いたとき、AJCEを愛され、こまめに入会勧誘をしていただいている幹部会員の皆様に頭が下がる思いがしました。

第3便目の点、EUでは国境を越えた企業統合が進み、コンサルティング企業も例外ではなさそうです。EU全域にわたる合併企業の傘下に各国子会社、支社がそれぞれの法制度のもとに事業展開をはかっている。各国のFIDICメンバー協会はこれら子会社、支社を会員として認めるのが当然だとペダーセン会長は考えています。もちろん、協会収入を増やすことも念頭にあるようです。ただし、これらの子会社、支社には各国の協会会員として活動するコミットメントを要求しているとの発言がありました。

最後に京都での質問に対するペダーセン会長の回答をご照会します。品質に基づくコンサルタント選定(QBS)を主張するFIDICとしても、コスト重視という世界的潮流については一定の理解を示す必要があり、QCBSについては適切な条件設定を要求していく道をとらざるを得ないのではなかろうか、ということでした。また、遵法営業についてFIDICとして年次目標を設定してはどうかという私の過激な提案に対し、それぞれの社会システムは長い時間がかかってできたもので、一朝一夕の改革は難しいだろうとの意見でした。

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