Japan YPF in FIDIC FIDIC Anual Conference Report 2001-Monterey(2001年)
日本建設コンサルタント(株)東京支社 技術一部 小澤宏二
1.はじめに
ヤングプロフェッショナルフォーラム(YPF)は、AJCEを中心とし事務局運営を進めてきたラウンドテーブル会議である。YPFは2000年ハワイ大会において、コンサルタントエンジニアリング(CE)産業における若手専門家の人的育成開発および訓練等に関するテーマについてのラウンドテーブル会議がはじめて開催され、引き続き2001年スイス大会においても若手専門家の国際交流やFIDIC活動への参加意欲の促進等の実現に向けたラウンドテーブル会議として熱心な討議が行われた。
会議には、日本をはじめナイジェリア、中国、米国、ニュージーランドなど15ヶ国25名が参加し、2000年ハワイ大会において提案された若手専門家の交流のための電子メールと電子掲示板によるウェブフォーラム開設に向けた具体策の提案を含め約1時間30分にわたり討議が行われた。以下にはその概要を報告する。
2.YPFの役割
YPFでは、若い世代の専門家がFIDIC活動に参加する際のインセティブとなるものが失われつつあること、そして若い世代の減少傾向によるCE産業の会員団体の高齢化が深刻な問題となっていることを踏まえ、(1)CE産業における次世代の育成、(2)FIDIC運営への若い世代の意見の採用、等を目的にYPFの果たすべき役割を次のとおり確認した。
- 1)FIDICウェブサイトのインターネット・フォーラムページに「ヤングプロフェッショナル(仮称)」を開設し、YPFはウェブサイトによる討議、電子メールによる意見交換を促進し、若手専門家の国際交流を強力に支援する。
- 2)AJCEを中心とした若手専門家交流プログラム(young professional exchange programme)の拡充を促進し、国際的視野を持った若手専門家の育成を図る。
中でもとくに議論の焦点となった事項は、FIDIC活動におけるYPFの位置づけの明確化である。具体的にはYPFをFIDICの公式委員会として設立し、FIDIC年次大会におけるYPFの責務と立場を明確にする。すなわちFIDIC活動におけるある種のインセンティブをYPFに与え、若手専門家の積極的参加を促すという点であった。FIDIC全体が抱える課題と若手専門家の認識が共有されているという点で興味深い議論であった。一方、国際感豊かな幅広い知識を持った若手専門家の人的育成については、国際交流を含めた若手専門家交流プログラム等のガイドラインの拡充が必要不可欠とのとの認識が確認された。
3.AJCEによる若手専門家交流プログラム
会議ではAJCEを代表し、(株)建設技術研究所の山下氏より「AJCE、ACEA及びACENZの若手専門家交流プログラム」に関して概要報告がなされた。
この中では、交流プログラム2000の結果報告ならびにAJCEとACEA/ACENZの交流プログラムの中心的役割を果たした「ヤングサミット」の開催報告、最後に将来展望としてAJCEとACEA/ACENZの若手専門家の関係強化を目的とした若手専門家国際グループ(略称Y-PIG)の設置の提案が行われた。
AJCEを中心とした3団体による若手専門家交流プログラムはYPFにおける先進的事例として紹介され、各国から大きな関心と注目を集めた。
4.おわりに
YPFはAJCEを運営母体として開催され、褐嚼ン技研インターナショナルの佐々部氏がファシリテータ(進行役)、米HDRホフマン氏がレコーダ(記録役)を努めた。とかく発散しがちな議論を軌道修正し、有用な意見を効率的に引き出すことができたのは、(株)日水コンの藏重氏をはじめとした事務局調整、AJCEの運営力によるところが大きく、確実にAJCEの存在を十分にアピールすることができたと考える。また、YPFは45歳以下を対象としたラウンドテーブルであるが、45歳以上の参加者が多いのも今回のラウンドテーブルの特徴でもあり、FIDICが抱える問題の一端を垣間見ることができたとも言える。なお、大会後に開催されたFIDIC理事会でAJCEが提唱していたYPF設立が承認され、FIDICの次代を担う若いコンサルタントエンジニアの活躍の場が設定されたことを報告し、結びとしたい。
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