コンサルティングエンジニア(CE)−よりソフトなイメージへ−
FIDIC会長のJorge Diaz Padilla が、退任を前に以下のようなメッセージを寄せている。
この1年間は実践・戦略両面の問題に果敢に取り組み、それが報われた年であった。昨年、私はコラボレーションとパートナーシップの大切さをとなえた。そして、これはシンガポール大会のテーマにもなっている。FIDICの戦略的な事業の多くは、多くの人々のサポートに頼っている。ここでの重要な仕事は委員会形式にこだわらず、しばしば表に出ないまま行われる。理事会は各責任者との間でインターフェイスとして機能する。
公正で透明性のある調達がCE業界の根幹である。グローバル化が進み、技術的なサービスが民営化されていく大きな動きの中でも、未だにCEは施主側に立つことが多い。それ故にCEは施主側から不正な要求を突きつけられた時には厳しい立場に立つことになる。FIDICは世界技術者連盟と協議を行い、汚職と戦い、持続可能な開発を促進してきた。よい契約約款は施主、建設請負業者及びコンサルタントにも重要である。それらのバランスと公正さを確実にすることは契約約款委員会の重要な任務である。また、FIDICは建設請負業界を代表する世界建設業連盟(CICA)と協議を行い、汚職に対する共同声明を発表し、汚職防止促進ツールの導入を計画している。
多国間開発銀行(MDBs)はまだ世界のインフラ整備において支配的な役目はあまり果たしていないが、多くの国で調達決定時に影響力を持っている。隔年で開催されるFIDICとMDBsの会議、BIMILACIは5月にワシントンで2日間にわたり開かれ、品質に焦点が当てられた。銀行間の協調はかなり進んできたが、品質についての理解と定義についての取り扱いには難しい面があることが判明した。FIDICは施主が高品質のサービスを期待しているとの認識に立ち、原点に戻って施主が「どうしたいのか」ではなく、「何を達成したいのか」との質問に心がけた。また、FIDICはMDBsに対して「コンサルタント選定における価格の影響」、「調達における持続可能性の問題」、「汚職と戦う実践的な手段の不足」、「不適切な合意によるコンサルタントへの不公平なリスク負荷」そして、「支払いの遅れの負の影響」についての理解を強く求めた。
多くの会議は実務的ではない議論に終始することが多い。FIDICは汚職の問題と持続可能性の問題に対応するための実務的なツールPIMS(Procurement Integrity Management System)とPSM(Project Sustainability Management)を開発し、普及に努めている。
FIDICと業界が取組むべき大きなチャレンジは、重要な問題は何かを理解することと、声をそろえて話すこと、そして同じ問いかけをすることである。FIDICは地域の業界に対し、より効果的な声を届かせるのに最もよい方法は何かについて検討している。これはアフリカやアジアのMAグループのためにヨーロッパCE協会連合(EFCA)との協力関係、FIDIC 中南米アメリカ連合(FEPAC)との交流を進めるに当たり、新しい注目点となった。
同時に、CEはよりソフトなイメージを与える必要がある。1つには技術の専門家や問題の解決者というよりも、貧困の軽減や気候変動問題に取り組むことによってより良い生活の提供に貢献していることを強調することである。私の役割が終わりに近づいてきた今日、この動きと我々のサービスがこれまでになく求められていることを強く感じている。私は、皆さんに感謝するとともに、後任の皆さんがよりポジティブな将来に向けて業界を率いていくことを願っている。
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