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2003年 FIDICフランスパリ大会

FIDIC Forum
Globalization with Responsible Investment

教育推進分科会長 林幸伸

今大会のテーマである“Partners for Responsible Investment”に係り、UNEP(国連環境計画)のDeputy Director、EBRD(欧州復興開発銀行)のDeputy Vice President、フランス橋梁・道路局のVice President、オランダのコンサルタント協会理事の4氏より基調講演が行われた。

講演に先立ち、フランス首相の代理としてフランス産業省大臣のスピーチが行われた。ここではSustainable Development(持続性のある開発)の重要性が強調されたが、企業の収益性が確保されなければSustainable Developmentは単なる哲学、との実利的発言が印象的であった。

基調講演のなかではコンサルタントに対する期待が随所に語られたが、流動的な市場環境のなかでコンサルタントの課題として語られたキーワードは以下のようなものであった。

  • 持続性のある開発
  • 革新的技術供給の必要性
  • 価値創造の重要性
  • コミュニティと環境への配慮
  • 多様な文化への理解
  • 相応なリスクの需要
  • 次世代のための責任ある行動
  • コミュニティと環境への配慮
  • マルチ・ディシプリナリー
  • パートナーシップの創造
  • リーダシップの発揚
  • 民間資金の活用
  • 倫理と責任

個別のプレゼンテーションにおいては、EBRDからは旧ソ連邦諸国の復興事業の紹介があった(1991年からの融資額は200億ユーロ)。EBRDのアプローチは1)民間への資金も供与、2)技術協力の供与、3)社会制度の強化重視、4)中小企業育成、5)コミュニティと環境の尊重、である。投資により、「経済」、「環境」、「行政」、「社会」の持続的発展を促すことを目的としている。

UNEP(国連環境計画)からは民間セクターとのパートナーシップの必要性や技術移転の重要性が語られた。

オランダのコンサルタント協会理事のプレゼンテーションは非常に明快であり、建設産業は抜本的に解決すべき以下の問題点を抱えているとのレポートがなされた。

  • 1)Imperfect market mechanism
  • ・excessive focus on lowest price
  • ・no incentive to innovator
  • ・little attention to good price-quality ratio
  • ・no understanding of continuity needs of private sector partnership
  • 2)Fragmentation
  • 3)Poor client orientation
  • 4)Poor client orientation
  • ・no real understanding of client's wishing
  • ・project cost focus instead of life cycle cost
  • 5)Poor image of construction industry
  • ・distrust
  • ・claim culture
  • ・low profitability of contractor/consultant
  • ・lack of innovation
  • ・high cost of remedying defects (10 to 30%)
  • 6)Integrity
  • ・tendering process- not professional/not transparent/not fair
  • ・lack of trust and cooperation
  • ・pre-project price arrangement by contractor

これら問題点の解決には建設産業のプロセスやシステムにおける以下の視点からの変革が必要であることが解説された。

  • Static control of product → Dynamic control of process
  • Price → Total benefit
  • Initial cost → Life cycle cost
  • Risk /Cost share →Risk /Cost management
  • Initial price → Ultimate benefit

さらに、コントラクター側も含めてエンジニアリング業務の形態が多様化しており、コンサルタントとして事業者側での業務につくか、コントラクターと一緒に組むかで、その位置付けへの選択を今後迫られることになる、との発言も印象的であった。

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