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2003年 FIDICフランスパリ大会

Workshop-7
The ethical obligation imposed by responsible investment

QBS分科会長 河上英二

午前中の"Plenary session"で各ワークショップの司会者が壇上にて、ワークショップの概要などを紹介した後、それぞれのテーマについて10のワークショップが開催された。ワークショップ7ではドミニク女史の司会で、以下の6つのプレゼンテーション及び質疑応答がなされた。

  • Sustainable development and the engineering ethics
  • Ethics and public procurement
  • Globalization and "frame of living ethics"
  • Integrity - Corruption & Ethics
  • The ethical officer's Mission
  • Ethics training for engineers

午後のワークショップでの大きなテーマとしては、"業務を遂行してゆく上で新たに必要とされること"であったようだが、このワークショップでは契約から業務を遂行するにあたって、今後は"Ethic(倫理)"的な義務を果たすことが重要であり、"Sustainable Development(持続可能な開発)"を達成するいわゆる良い仕事とは、この倫理的な義務を意識してどう達成するかについてのプレゼンテーションであり、討議であった。

プレゼンテーションの概要を幾つか紹介すると、

  • ・Sustainable Developmentは"Environment(環境)"、"Social(社会)"、"Economy(経済)"の3つそれぞれの構成要素が重なり合う核である。Ethicsはそれぞれの領域に共通して重要な要素であること。技術の行為は、これらすべての構成要素に係っており、実施することである。
  • ・地球上の資源が急速に減少していること、自然界で造られるエネルギー資源に比して消費速度が速いこと、毎年膨大な面積の森林が失われていることなどの現実
  • ・われわれ技術者は、計画段階、実施段階において、自分たちの業務について"結果はどうなるか?"、"事業の目的は?"、"だれのための事業か?"、"インパクトやリスクのレベルはどうか?"、"コストの優位性は?"などについて考えるべき。
  • ・これは発注者側の調達方法も含め同様であること。
  • ・倫理を実効のあるものにするためには、教育の実施や国際的な規則の制定、モラルの権威者としての技術者の育成が提案され、そのためには正当なフィーの保証、健全なサービスを提供できるためのプロジェクト全体コストの考慮、グローバリゼーションを優位性として悪用したものを無効とするなどの対応が必要。
  • ・デンマークの現状としてメディアを通じてコンサルタント企業が広く認知され、そのため行動やイメージ確保に注意を払っている。法や規則に基づいたコンプライアンスを実施。これに関する報告を行い、大きな企業では方針を作成し、社員もこれに従って行動している。
  • ・ Ethics officerの提案:倫理を司るには高い地位と先見性、創造性、強い認識、常識、粘り強さなどが必要
  • ・Ethicsのトレーニングには、技術者としての立場の議論や専門家としての責任の範囲、社会全体が変わることの必要性など様々な内容や課題を抱えるなど特に欧州での現状や提案について説明があった。最後に、FIDICのメキシコ理事でBIMSタスクフォース代表パディラ氏より、BIMSの説明及びトレーニングマニュアルの説明があった。

その後の質疑応答では、社員の認識不足や教育やトレーニングの必要性、モニタリングの必要性、発注者自体の問題、また贈賄の問題の複雑さなどの意見が出て、途上国を中心にその関心の高さがうかがえた。参加人数は、約80人であり、今後の問題としてメンバー内での関心は最も高いのではないかと感じた。

国内でも倫理に関して"コンプライアンスプログラム"を策定する企業が多く、プレゼンを聞いていて欧州と比較すると日本の方がやや進んでいるとの印象を受けたが、今後この問題に関してはさらに監視や罰則などが厳しくなる方向にあるものと考えられる。

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