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2003年 FIDICフランスパリ大会

Workshop-8
The role of engineer in public and political debates accompanying new investment

理事 総務財政委員会委員長 内村好
はじめに

「社会資本整備における住民合意形成でのエンジニヤの役割」と題して「我々コンサルタント・エンジニヤ企業がどのように関与できるか?」とのモデレータの問いかけに対して、3人のフランス人技術者が、事例を紹介しつつ見解を述べた。その内、英語でのプレゼンテーションがあった下記の事例を記述する。

'Port 2000 Project'と住民説明

'Port 2000 Project'は、増大する船舶コンテナ貨物と船舶の大型化に対応するためにセーヌ川河口部の港湾施設と内陸交通網を整備する事業費約830億円の一大プロジェクトである。事業主体はル・アーブル港公社である。事業に対する公開討論会がフランスで初めて実施され、97〜98年の4ヶ月間に集中的に50回以上開催された。その中では、当局から7代替案、NGOからも10の代替案が提案され議論された。討論の結果、セーヌ川河口の自然保護について関係者と継続的に協議することとして事業が実施されることなった。2000年には500ページに及ぶ報告書類が、関係する41自治体に供覧された。その後、2004年にかけて事業を実施しながら、環境保護の実態について観測データについてのモニタリング委員会や行政機関・漁協などとの個別の委員会も継続的に開催された。

合意形成の要件

'Port 2000 Project'における住民説明で得られた経験を元に、合意形成においてエンジニヤに要求される要件について、下記のようなことが挙げられた。

  • 事業の技術面や環境保全については、十分な調査が絶対的に要求される。
  • 関係者や住民への説明にあたっては専門家であるコンサルタントの助けが必要である。
  • 複雑な事業内容を多くの人々に理解してもらうためには、多様な技術力と表現力が要求される。
  • 討論会で提案される代替案に対応できる柔軟な分析力が要求される。
  • 学術委員会や住民説明会、個別団体との委員会など異なるレベルの説明資料が必要である。
  • 企画、調査・計画、施工に関わる全ての関係者が納得するためには、持続可能な開発(Sustainable Development)を実現するための、継続的なねばりづよい対話が絶対的に必要である。
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