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2003年 FIDICフランスパリ大会

Workshop-10
The new responsibilities arising from responsible investment

国際活動委員会幹事 桜井一

本ワークショップの当初タイトルはProfessional Liability(PL)となっていたが、大会では上記となった。参加者は約40人で、フランスのJ.M.グアンバン氏がファシリテーターで、3人のゲストスピーカーの講演が行なわれた。

1.最初の講演者の概要

クライエントの要求が大きくなる一方、保険会社の受け入れ条件が厳しくなり(保険会社が弱体化、小さな保険会社は減少傾向で世界的大保険会社が国境を超えて拡大しているが厳しい受け入れ範囲・限定条件、保険金が高額化傾向、保険会社のエンジニアリングセクターのランク付けは"D"と、あまり好まれていない)、コンサルタント等へのリスクが広がった。従って、PL責任は契約金額と業務内容により、リスクの範囲と大きさを制限するべきである。また、そのように契約書条項に記載するべきである。

2.ニ人目(コントラクターサイド)の講演概要

コントラクターのリスクとしては、物価上昇、価格競争(=品質低下)、クライエントの技術・マネージメント能力が無い・悪質なクライエント、支払われない、悪いJV相手またはサブコンと組む、工事遅延、不当なボンド等保証を取られる、そして、不良な設計(上流での小さなリスクは、建設段階下流では、大きなリスクとなる)等によるリスク、及び予期できない自然条件・土質条件、法律条件、第三者状況等によるリスク等がある。これらのリスクを最小に押さえるためには、契約条項でリスク範囲(期間、金額等を考慮)を最小にする、公平な責任分担(元々、クライエント側のリスクもあったが、いつのまにかコントラクターの責任範囲となっているものもある)、不公平なボンドを無くす、最適な保険に入る、リード会社にならない等がある。また、今後、下限落札金額制度や、保険料を契約金に入れる方式、過激な競争入札を緩和する等要請する。現在クライエント側は、全リスクをコントラクター側に押し付けるような契約をする傾向にある。また、最近では、文化的、社会的等直接工事に関わらない分野まで、その責任が問われる場合がある。コントラクターとして、良い仕事をするために、不公平な契約にならないようネゴをしっかりし、かつクライエントとの良い関係を保つ方向を進みたい。また案件に勝ち、良い仕事をするために、良い仲間を選ぶ事に努力する。

3.三人目の講演者概要

当該案件余剰金(Excessive Project Savings)=世界的妥当標準価格−当該案件落札額で、この金額が大きくなるとリスクが高くなると仮定義したが、実際は世界的妥当標準価格を設定するのは難しい。クライエント/オーナーが内部(あまり技術的な能力が無い)で基本設計等を実施する傾向にあるが、もっと、上流部の業務(基本設計等)を重要視する必要がある(プロに頼む)。現在、クライエントは有利契約でリスクから守られているが、今後リスクは分担するべき。

4.質疑

フランスのクライエントは、強い立場で、FIDICのモデルコントラクトを使うとか、PI軽減に対するネゴとかを許してくれない。フランスのコンサルタント協会等が結束して、フランスのクライエントへ要求等をするべき、との意見がでた。

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