公益社団法人 日本コンサルティング・エンジニア協会 AJCEトップページへ english site

FIDIC Forum: Consultants as Professional and Business Partners

株式会社オリエンタルコンサルタンツ 代表取締役社長
副会長・国際活動委員会委員長 廣谷彰彦

開会式に続いた朝のコーヒータイムの後に、共通セッションの第一弾として、IFI、コンサルタントそして施工者をそれぞれ代表する3人の講演があった。

  • 日時:2004年9月13日(月)10:45〜12:30
  • 場所:SASホテル;会議室
  • 参加者:コンフェレンス参加者が基本的に全員
  • 資料:各プレゼンターからのプレゼン資料
  • 議題:

1.世界銀行からの主張

  • 「コンサルティングエンジニアと社会基盤整備への投資に係る新たな動向」(Consulting Engineers and the Renewed Impetus in Infrastructure Investments)
  • 講演者:Cesar Queiroz, Lead Highway Engineer, The World Bank
  • 概要:社会基盤に係る業務は岐路に差し掛かっている、公共と民間の二つの流れが社会基盤に関係する、社会基盤とミレニアム(事業)、開発のゴール(とは)、社会基盤の業務を開発する、PPPと公共の政策、コンサルタントへの機会・あるいはチャレンジ、業界の役割、公正マネジメント、明日のエンジニアに向かって

社会基盤整備に係る視点からは、世銀の投資は減少傾向にある。IBRD/IDAによる経済開発・支援は岐路にさしかかっている。社会基盤整備とサービス提供の方法の見直しが必要との認識。

公共事業投資の減少分が、民間投資により補完される関係。PFI・PPPなどの手法が試行され、定着しつつある。民活は今後ともにシェアを伸ばすと思われる。

コンサルタントの活躍範囲が変化しつつある。契約形態にも顕れつつあり、これまでの事業執行とそれに関わるサービスのみから、マネジメント/維持管理に係る契約が増加している。今後ともに、より一層チャレンジして頂きたい。

運輸部門に限ると、世銀の関与は増加している。道路等のコンサルタントにとっては、チャンスが増えている。

他方、汚職防止等には厳しく対応している。不良/不適格業者の名前の公表なども既に実施した。1996年に汚職はガンだと宣告して以来、様々な機会に、世銀グループがより厳しく処することを明確にしてきている。

解析的な手法により、人口・収入・道路延長などと汚職との相関が見られる。世銀からの投資を増加させることも、解決手法のひとつと考えられる。

教育問題にも着目したい。次に示すアドレスにアクセスして、最近のトレンドに接して頂きたい。Engineer of 2020 National Academy of Engineering(www.nae.edu)

明日の技術者の姿と向上に向けて、全ての分野においてビジョンを打ち立てて頂きたい。

2.コンサルタントからの主張

  • 「外部との強調が肝要」(The External Cooperation Imperative)
  • 講演者:Joseph A. “Bud” Ahearn : Vice Chairman : CH2M Hill Co.,Ltd.

米国における企業倒産の比率は、近年において若干低下しつつあるが、建設部門は、逆に増加しつつある。また、利益率も徐々に低下しつつあり、業界全体が新たな価値創造に向かおうとしている。

コンサルタントのサービスについて言えば、サービス内容が単純な形態からより複合化されており、パートナリング、PPP、PFI、アライアンスなど、さまざまな試行がなされている。複合化された事業は、品質を始めてとして、これまでの取り組みに比較して、さらなる多くの努力が必要である。しかし、メリットも多い。

(個々で、様々な指標を下に解説しているが、複雑であり、興味がある方は次に示すHPにアクセスして、確認下さい。www1.fidic.org/conference/2004/talks/)

変革の内容は、柔軟性、持続性、組織内持続性、対外誇示性など、さまざまな視点でその有効性を確認する。個人の満足・心身の健全性などの確認も必要となる。その様な総合的な視点から、変革の戦略、目的・配置、組織文化や業績などを評価軸として、変革に向けた準備行動の健全性を確認する。

組織全体がその様な変革に向けて、一体となって(ネットワーキングが)機能することも重要となる。

3.建設サイドからの主張

  • 「施工側からの視点に於けるコンサルタント」(The Executing parties’ View of consultants as professionals and as business partners)
  • 講演者:Jens Klarskov : Chaireman, Dansk Byggeri (Danish Construction Organization)

デンマークにおける建設業の現況についての説明があり、続いて、関係者間のこれまでの関係や、今後の展開などが展望された。

デンマークの建設・建築の歴史の中で、独立の建築家(設計家)が活躍を始めたのは、約100年前からと言われる。事業実施主体は一般に優秀な設計部を保有しており、全体的な事業実施を執り行う。計画・設計に係る専門家は、事業毎に、さまざまな相手と契約行為により関わりを持つ。

この様な環境において、事業実施主体はコンサルタントと時に共通の、あるいは対立する関係にあることもある。コンサルタントは様々な意見の対立にあっても、適切な設計、建設可能性の追求、品質確保、そして、経済的でなければならない。

当初契約において、以上に示した環境が確保出来たとしても、途中の設計変更による経済性の悪化、あるいは、報酬レベルの低下などが発生することがある。現在のデンマークでは利益が悪化しており、青年層の魅力的な環境の創造が大きな課題である。

一般的な事業実施環境において、コンサルタントは事業主体側に立つため、工事側と対立しやすい。しかし、今後はより多くのコミュニケーションを確立して、結果、事業のより良い成果に役立てたい。若いコンサルタント人材の育成も大きな課題であり、時として、若い設計成果のままでは、工事が出来ない場合が発生している。

数年以内に、建設市場はEU統合による影響により、大きく変化する見込みである。国内市場にのみ活躍していたが、より競争力を高めなければならない。コンサルタントと建設側との協調が望まれている。

近年において、その様な意向は現実の展開に結びつきつつある。

1.コンサルタント協会側から建設側に提案があり、1998年に協調に向けた話し合いがもたれた。

2.過去2年間には、パートナリングなどを通して、円滑な事業実施に向けたさまざまな試行が行われている。

PPPにも興味深い検討がなわれており、事業実施主体、裨益者、コンサルタント、建設側を巻きこんだ行動になりつつある。

建設者の評価が試行されている。特に公共建築物の工事に適用され、現時点では、期待した成果が上がりつつある。

LCAに付いても検討されており、品質、耐久性、維持管理の容易性、持続性、その他の視点から、評価している。

対立関係から、協調に向けた行動が成功しつつある。

Copyright(c) 2005 ASSOCIATION OF JAPANESE CONSULTING ENGINEERS(AJCE). All Rights Reserved.