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FIDIC Forum: Plenary Session
Sustainable Engineering - GLOBAL LEADERSHIP

株式会社建設技術研究所 経営企画部 次長
国際活動委員会 QBS分科会長 河上英二

      1.日時、場所
       2005年9月5日(月) 10:30〜12:45
       Beijing Hotel Building C


      2.発表者議長;Kell Richard
      プレゼンテーション@:”Sustainable Engineering in China”
      Ma Kai(National Development and Reform Commission)
      プレゼンテーションA:”The Role of the World Bank and
      Consultants in Infrastructure Development”
      Shengman Zhang(WB Managing Director)
      プレゼンテーションB:”Sustainable Engineering in China”
      Liqun Jin(ADB Vice Presdent)


      3.発表概要

各プレゼンターをKell会長が紹介した後、プレゼンテーションが実施された。話題提供の内容は、今後の持続的な発展においては、全世界的な継続的な技術の開発や発展、特にエネルギー対策や環境問題への技術、またこれを実施してゆくうえでは、従来からのCapacity BuildingやIntegrity Managementが重要であることが確認された。 @では、開発に携わる中国政府関係者から、中国における目ざましい開発の現状と、これまでは開発に重点を置かれていたが、いわゆる3R(Recycle, Reuse, Reduce)の実践が始まっていること、またエネルギー対策(Green Energy)、Clean Production、Pollution Controlなど継続的に開発を進めるに必要な環境面への配慮の考え方や技術の必要性が説明された。加えて、このような方策を促進するためには、法や規則について整備することが必要であるとの考え方が示された。
Aでは、中国出身のWB副総裁より、途上国の社会資本整備がまだまだ十分でないこと、WBグループの事業紹介や品質・効率性の観点からの様々な支援を途上国政府に実施していることなどが紹介された。続いて、その中でコンサルタントが果たす役割も技術的・質的な面で変化してきており、経済的・社会的な面でのアドバイザリー的な支援も求められ、しかし一方で時間的また経済的な制約もある。このような状況を十分認識して、コンサルタント側の技術開発はもちろんのこと、それにも増して発注政府側の能力開発が非常に重要であるとの説明がなされ、そのためにもBIMILACIなどをとおしたFIDICとの連携が今後ますます重要であり、一層の協力を求められた。
事業の調達について、WBはFIDICの契約約款をHarmonized documentとして採用し、長期間(約10年間)にわたりロイヤリティを支払うことを決定した。このことで、FIDICは財政面で安定した収入を確保することになった。
Bでは、同様に中国出身のADB副総裁より、ADBの事業概要とSustainable Engineeringに関するADBの考え方が説明された。ADBはFIDICと毎年定期的な協議を行っており、ADBはFIDICの支援に感謝している。ADBはHarmonizationの流れの中で、3年ほど前にQCBSを導入し、より経済的・効率的に事業を実施している、との報告があった。これに関係する質疑応答で、コンサルタントの選定が公平かつ透明性をもって行われていないのではないか、との質問があった。副総裁は、ADB内の専門家が適正に評価していると回答したが、具体性のあるものではなく、技術により1番に選定されたコンサルタントのうち、約20%がコストで非選定となっている現状からすれば、納得の行く回答になっていない。
今後は事業責任者であるADBや政府関係者の責任ある開発継続が必要であり、そのフォローも重要であること、さらにコンサルタント企業ではより高度な品質向上策の実施や管理システム、管理技術の開発が必要であるとの説明がなされた。そのためには、国際的なコンサルタント企業が強くなることが必要であるとの説明がなされたが、これに対してはフロアからは、弱いローカル企業がますます弱くなるとの懸念する意見が出された。選定も含め、国内のコンサルタント企業社会と同様な意見であることを感じた。

余談であるが、FIDICは過去の年次大会でWBやADBの総裁・副総裁クラスの要人による基調講演を依頼してきたが、色々と理由をつけられ断られてきた経緯がある。しかしながら、今年の北京大会では中国人のWBとADBの副総裁による基調講演が実現したことからも、中国政府のFIDIC大会への並々ならぬ思い入れの深さがうかがえる。北京オリンピック、上海万博、南水北調などの超ビックプロジェクトが国土の発展と威信にリンクしていること、また国立研究所の民営化によるコンサルタント企業の育成と能力開発が加速されていること等から、日本CEにとって中国CEは間違いなく脅威の存在となっている。既にWBやADBのコンサルタント業務受注で中国は日本を凌いでいる。縦割りで動きが鈍い日本のCE協会にとって重い課題がつきつけられている。

 

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