公益社団法人 日本コンサルティング・エンジニア協会 AJCEトップページへ english site
ホーム > FIDIC情報 >FIDIC NEWS >FIDIC NEWS (May 2005)

FIDIC NEWS (May 2005)

<和文抄録>

訳責:国際活動委員会 IFI分科会
A.ヤングプロフェッショナルズ(YP、若手専門家)の
トレーニングプログラムが進行中

FIDIC 2005の若手専門家のマネージメントトレーニングプログラム(YPMTP)は、DIEUからコンピュータ上での歓迎を受けて、2005年初頭から始まっている。トレーニングは16カ国23名のYPに対して行なわれ、8ヶ月間にわたり、将来のコンサルタントエンジニアリング業界リーダーが代表的なビジネス課題とケーススタディに取り組む予定。主な検討課題は、「成長と利益」「新しい技術のインパクト」「企業と人材開発における変化と国際化」「会社所有の構造」「マーケッティング」等である。彼らは、近々プログラムを終了し、その成果を2005年のFIDIC年次大会(9月4-8日 於北京)で公表する。おそらく、ビジネス実践のための新しいガイドラインが生まれ、それらはFIDICのGuide to Business Practice training manual に取り込まれるものと見られる。


B.契約約款に関する研修プログラムが定着

FIDICは現在、5つの組織と協働し、戦略的な地域である、欧州、中東、そしてカリブ海諸国において、FIDIC契約約款と(契約)紛争の解決に関する国際的な研修コース、ワークショップ及びセミナーを主催している。 来る2005年のイベントは、ブリュッセルで2005年6月6〜7日、ダブリンで6月16〜17日、ジャマイカで6月20〜21日、ロンドンで6月30日〜7月1日、アジア開発銀行の内部研修(マニラ)が8月17〜18日、アムステルダムで10月6〜7日、ブリュッセルで10月17〜18日、パリで10月24〜25日、デュバイで11月5〜6日、ジャマイカで11月8〜9日、ブリュッセルで11月27〜28日が予定されている。
FIDICはまた、MA(会員協会)とも協働して、契約約款の研修イベントを開催しようとしている。それらは、テヘランで2005年6月27日、クアラルンプールで9月28〜29日に予定され、マニラ(8月)、シンガポール(9月)、カイロ(11月)、そしてさらにタンザニアとウガンダでも予定されている。その一方で、中国と韓国にあるFIDICの研修センターが東アジアの地区からの(研修の)要望に対応することになっている。アメリカ諸国地域の要望に対しては、2005年からカリブ海諸国で成功裏に始まったイベントで、短期的には対応できるものと考えている。そして、東および中央アフリカ地域の要望に対しては、南アフリカの南アフリカコンサルティングエンジニア協会(SAACE)に拠点を置いているコンサルティングエンジニアの南部研修所(the Southern School of Consulting Engineering)と共に開催の調整が行なわれる予定である。FIDICとCEAI-インドを中心としたJV団体(インドコンサルティングエンジニア協会、コンサルタンツ開発組合、ITCとのJV)との間では、インド国内全域で研修コースを開催することに関する同意書にサインが交わされた。これでこのような研修プログラムの開催が求められ、まだ対応出来ていない地域として、スペイン語やフランス語圏の国々と西アフリカが残されるのみになった。FIDICが企画したり、協働して企画したりする。

 

C.より持続的な業界の形成には地域のイニシアティブが不可欠

FIDICのリチャード・ケル会長は、FIDICアフリカ会員協会グループ(GAMA)の年次会合(カンパラにて2005年3月14〜17日に開催)で講演し、各国の民間コンサルティング・エンジニアリング業界は、それぞれの国の富と安定に対し、非常に重要な貢献をしている持続可能な資源であるということを強調した。他地域での経験によれば、域内共働を利用する地域ネットワークの形成が、国内業界の持続性をより高めることが明らかになっている。アフリカ連合と「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」を媒介として、アフリカのコンサルティング・エンジニアリングは、大きく飛躍する準備ができており、将来の要となるもの、すなわち、質、誠実さ、持続性を発展させる能力を持っている。FIDICとその地域グループは、ネットワーク作りと提携関係作りの機会を提供しており、統一された方針を持つことで利益を得ている。したがって、このような機会提供に関する話題が、GAMA年次会合のような場で討論されたことは、適切かつ時を得たものであったと言えよう。
同会長は、FIDICがすべての国にコンサルティング・エンジニアリング業界を構築することを約束し、適切な施策を実行していることも確認した。しかし、これらに関する活動は、中央政府、資金提供機関、投資家、国際企業、国内企業間で調整されなければならない。この会合、およびGAMA総会の報告書については、FIDIC.org/GAMAを参照のこと。尚、同会長は、ケニアとタンザニアの会員協会を訪問する前に、リスク管理と付加価値コンサルティングに関するGAMAトレーニングワークショップでも講演した。

D.ACEA-オーストラリアPI保険運動が成功

オーストラリアの代表的日刊経済紙、「オーストラリアン・フィナンシャル・レヴュー」2005年1月28日版の一面記事「弁護士事務所が不法行為法の改革により打撃を受ける」は、コンサルティング・エンジニア会社に朗報をもたらした。記事によると、「保険業界における危機的状況を緩和するための(オーストラリアの)州と連邦の法体系改革により、法廷で争われる訴訟の数が大きく減少した。(中略)訴訟の数が最も減ったのは、訴訟の中心地、ニュー・サウス・ウェールズ州で、地方裁判所での請求件数は、60%、12,600件減り、治安判事裁判所における民事請求件数は、13.4%、30,500件減った。」
法体系改革の為の運動を先導したACEA-オーストラリアの最高業務執行者、テレゼ・チャールズとACEA のチームに賞賛を。ACEAは、「特に小規模企業に対する、専門職損害賠償保険料の相当な引き下げがなかった事を残念に思っている」ので、今後、この戦いを、今度は保険会社と続けなければいけない。

E.アジア開発銀行(ADB)が効率的な調達方法の必要性を強調

アジア開発銀行(ADB)当局は、最近マニラの本部を訪れたFIDIC代表団に対し、プロジェクトの実行がしばしば不必要に長期間で官僚的であり、その為に、重要なインフラ整備が遅れていると言う見解を示した。ADBは調達方法を効率化すること、また借り手側の能力を高めるプログラムを開発することを計画している。FIDICは近い将来その新しい調達方法にコメントする機会を与えられる予定で、またFIDICも進んでその役割を受け入れる意向である。FIDIC代表団の顔ぶれは、会長Richard Kell氏、次期会長Jorge Diaz Padilla博士、理事石井弓夫博士、前ASPAC議長Kok Kin Min氏であった。
FIDICの公正管理システム(Business Integrity Management System)はADB内で益々広く認識されつつあり、コンサルタント選定の過程でコンサルタント会社のBIMSを評価点に組み入れる事が現実になりそうな所まで来ている。その他の成果は、コンサルタント選定とコンサルタントへの制裁に関する新ガイドラインの適用、国際開発銀行間におけるコンサルタント会社の締め出しと相互締め出しに関する問題の整合化に向けての進捗などであった。ADBコンサルティングサービス部部長Robert Robertson氏は、これらの成果の大部分についてBIMILACI’05(7‐8 April 2005, ワシントンDCで開催、詳細はFIDIC.org/bimilaci参照)で発表している。最後に、インド洋津波災害復興におけるADBの活動は、各国の国家復興戦略に従うものとなるであろうとの事であった。ADBは既にUS6億ドルの津波基金を設立し、さらにUS1.75億ドルを別会計で用意した。

F.FIDIC会長がケニヤの汚職防止会議に出席

FIDIC会長DickKell氏はFIDICアフリカメンバーアソシエーショングループ(GAMA)年次総会出席に伴い東アフリカを訪問し、ナイロビで開催されたケニヤにおける汚職防止計画の進捗を報告検討するセミナーへも参加した。このセミナーは、今年建設業界に焦点を当てたTransparent International版“世界汚職レポート”の発表2日後に開催されたものである。そのレポートは、FIDIC次期会長Jorge Diaz Padilla博士が執筆したコンサルティングエンジニアリング業界における公正管理の促進に関する記事も含まれている。004年11月に開催され、60カ国250人が参加したOECDの政府調達とその管理に関するグローバルフォーラムにおいて、FIDIC幹部の発言が注目を集めました。既に知られているように、汚職が経済成長と開発に及ぼす悪影響は、FIDICの運営方針やガイドラインにおいても繰り返して述べられております。数少ない実務者の組織を代表してFIDICは、調達プロセスの透明性と品質の両方を改善する実用的なツールを示すことが出来ました。

G.地域的な能力開発プログラムでFIDIC契約約款が認知承認されている

ボスニア−ヘルツェゴビナのコンサルティングエンジニア協会(ACEBH)がFIDICのメンバーシップを申請した。ACEBHはInternational Finance Corporation (IFC) 東南ヨーロッパ企業開発(Southeast Europe Enterprise Development, SEED)の地域能力開発プログラムの援助を受け設立された。このメンバーシップ申請は、この協会が国レベルで認められることになる最初の協会となるので、戦争で破壊された国にとっては歴史的な出来事である。ACEBHは現在12のメンバーエンジニアリング会社を持ち、かつてのユーゴスラビア時代における総従業員のおよそ50%にあたる150人の従業員が従事している。この地方のエンジニアリング業界は、比較的規模の大きい建設部門を中心に、かなり以前から海外の開発プロジェクトへ参加してきたという実績がある。そしてそこで培った能力を足がかりにさらに発展したいと考えている。
FIDICの契約約款と調達方法に関するトレーニングは、SEEDが各主要産業部門の企業レベルで国際標準のビジネスの進め方を取り入れる為に導入している戦略の中心部分を成すものである。SEEDとACEBHが2005年3月サラエボでに開催したFIDICセミナーでは、最大のドナーである世界銀行は、ほとんどのプロジェクトは現在のところ内部的でドナーの献金に頼っており、援助総額は、1999年のUS10億ドルから2005年のUS1.8億ドルまで後退していると指摘した。EUへの働きかけが全西バルカン諸国を発展させる最も有効な道であると見られており、ACEBH、クロアチアのコンサルティングエンジニアリング協会、あるいは隣国で活動しているエージェントを通してその地域におけるFIDICの能力開発プログラムを強化推進することは、FIDICの最優先施策である。
新規加入した会員協会の詳細は、FIDIC.org/regionsで参照する事が出来る。
一方で、IFCはワシントンのIFC本部を訪れたFIDIC代表団に対して、年間US5千万ドルのプロジェクト開発予算を使って、他の地域でも同様なプログラムを始めることに関心を持っている旨表明した。

 

 

Copyright(c) 2005 ASSOCIATION OF JAPANESE CONSULTING ENGINEERS(AJCE). All Rights Reserved.