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FIDIC NEWS (October 2005)

<和文抄録>

訳責:国際活動委員会 IFI分科会
A.FIDIC北京大会が大成功を収めた

60カ国から1000人以上の参加者を集め、北京大会はすべての記録を塗り替えた。この大会のFIDIC総会では、26代目 FIDIC会長として、ラテンアメリカから初めて Dr. Jorge Diaz Padillaが選出された。 彼は、出席者の意を受け、CNAEC-China及びその会長She Jian Ming が会議を素晴らしいものにするために、FIDICと協働して行った大きな貢献に対し、賞賛を送った。

B.FIDIC年次総会で新メンバーと新重点政策が発表された

2005年FIDIC年次総会において、新理事にXie Shaozhang(中国)、Subhash Mehrotra(インド)、Geoff French(英国)の3氏が選出され、FIDIC 会長Richard Kell(オーストラリア)、Axel Jaeger(ドイツ)、石井弓夫(日本)の3氏が退任した。Dick Kellが会長在任中にこの業界及びFIDICに対して行った大きな貢献に対し、絶大な賞賛が送られた。彼は、世界の様々な所へ赴き、数多くのドアを開け、啓蒙し、ビジネスを拡げた。新会長のDr. Jorge Diaz Padillaは、FIDICがどのように発展して来たか、変化する市場の要求に対応してどのように進化して来たかを述べ、彼の先代達の築いた土台をさらに進展させる旨決意を表明した。また、Dr. John Boyd(カナダ)が副会長に選出された。
二つの協会、アゼルバイジャンエンジニアリングコンサルティング協会(NECSA)及びボスニアーヘルツェゴビナコンサルティングエンジニアリング協会(ACEBH)、のFIDIC加盟が承認された。それに伴い、 ACEBHの会長はショートプレゼンテーションを行い、ACEBH結成の経緯と西バルカン地域でのFIDIC活動におけるACEBHの役割について述べた。総会ではまた、Professional Services Development Corporation(マレーシア)、Formosan Brothers, Attorneys at Law(台湾)が新Affiliate Member(支援会員)として承認され、Kenana Engineering and Technical Services(スーダン)が新Sustaining Member(賛助会員)として承認された。
北京FIDIC2005年大会会場で9月7日に開催されたミーティングでは、FIDIC事務局長Enrico Vinkが、任期1年目を終えた機会を捉え、“コミュニケーション”をキーワードに彼の活動を総括した。いわく、活動を目に見えるものにすることは非常に重要であり、人々はFIDICが何をしているのかを知る必要がある、さもなければ、努力は限定された価値にしか実らない。彼は、FIDICが会員企業や国際的聴衆の関心を高める為に、より積極的になっている多くの分野における例を挙げて、“まだやるべきことがたくさんある、そして、メンバーの協力の下にやらなくてはならない”と強調した。

C.若手専門家(YP)の活動が注目を集めた

業界における将来のリーダーである若手専門家(YP)は北京大会でたくさんのグループを一同に集めてその存在を強く印象付けた。2005年のマネジメントトレーニングプログラム(YPMTP)には23人の参加者があり、そのコースを終了した。そして得た知見についてワークショップで他の大会参加者と分かち合った。FIDICに提案されたことは、FIDIC、加盟協会ならびに会員会社のブランドをより強く認識してもらう必要がある、ということであった。ブランドを認めてもらうということは、クライアントが、“品質のよいサービスを提供する”というコンサルタント業界の長期的な公約を理解することになるからである。 YPMTP2006は北京大会の時に始まり、オンライン登録と情報提供を行っている。 
YPMTPの若手専門家とFIDICと中国協会のYPFのいくつかのグループが、プレナリーセッションにおいて活動報告を行い、コンファレンスの成果に新たな視点を加え、未来への展望を示した。
若手専門家達は引き続き彼らの経験や専門的な意見を交換していくでしょう。目的は彼らがFIDICや加盟協会の活動によりいっそう参加してもらえるようにすることであり、彼らにとってもFIDICや加盟協会にとっても有益であり、彼ら自身の専門家としての経歴を高めることになる。プログラムは継続的に行われ、参加者に対してばかりでなく、彼らのスポンサー会社(所属会社)にとっても魅力的なものとなろう、また、加盟協会にとっては(教育活動の)道しるべとして役立つものである。

D.契約約款の翻訳を歓迎

FIDICの主な業務契約約款のスペイン語訳が、最近EAACE-Estoniaにより発行され、その出版発表会がTallinnで行われた。その席上、複数の閣僚は、この出版物がインフラ整備(開発)において国際的なベンチマーク(標準)となっていることを認めた。EAACEはFIDICが、(EAACEが作成した翻訳版の)電子図書を提供出来るという販売契約を結んだ多くの団体のひとつとなった。この販売契約は、英語版を使うためのガイドとして使うにしろ、実際の契約で使うにしろ、翻訳版へのアクセスを必要とする利用者にとっては非常に便利になるものである。またこの販売契約では、FIDICがライセンスや翻訳の質をモニター出来るようになっている。FIDICはライセンスを受けて出版された翻訳版を公認するという形ではないが、翻訳が正確に行われていること期して絶え間ない努力をしているのである。

E.討議されたDBO契約の主要な事項について

FIDIC 2005 北京大会でthe Design-Build-Operate (DBO) Contract Workshopが開催された。参加者に対して、FIDICの新しいDBO契約約款における主要な提案事項へのコメントを求めたところ、現実的で有益な情報を得ることができた。草案作成のタスクフォースはMichael Mortimer-Hawkins によって議事進行されており、そのメンバーであるAxel Jaegerが、新しい契約約款は1999年に出された一連のworks contractsと整合していると説明した。この(約款の)目的は、設計、建設および長期の施設運転管理について、コントラクターとして法的に認められた存在と単一契約を結ぶことになるというDBO手順の利点を確立することとしています。クライアントにとって有利となるであろう事柄(例えば、タイムスケジュールをさらに前もって知らしめることができる、財務的な柔軟性、責任の明確化、適切な危機分散など)は十分に認識されている。討議結果から、FIDICは新しい契約約款を持ち、新しく、刺激的なビジネスの領域に入って行くことは明らかである。そして、草案作成タスクフォースはその新しい領域への挑戦を受け、大きな前進をし続けている。
Axelは最初に、白紙の状態から施設が設計、建設、そして運転されるという過程で予想される重要事象の基本的流れについて説明した。それらは、承諾書、作業開始日、現場への交通、建設、試運転合格証、保証金留保期間、設計施工期間中の完工保証金の返還、共同検査及び完工証明書が含まれた。参加者への質問は、現在提案されている より重要で、比較的新しいコンセプトをカバーするものであった。のなかのいくつかについて行われています。

F.チュニジアとWS開催、能力開発及び銀行雑務支援の件で合意

2005年8月下旬、チェニスを訪れた当時のFIDIC会長Dick Kellは、チュニジアコンサルティングエンジニア協会(ANBEIC)会長Nabil Chaterと合意書の詳細について合意した。その合意書には、FIDICが2006年6月8日と9日にチュニスの政府後援Salon International des Servicesで行われるワークショップの開催を援助することが盛り込まれている。それまでの間、ANBEICは近隣諸国にFIDICの加盟協会を設立することを援助し、FIDICがチュニスに本部を置くアフリカ開発銀行と連絡を取り合う際に支援することとしている。そのフォーラムは、参加会社が北アフリカ地方におけるビジネス展開について学ぶ重要な機会を提供し、ワークショップは、調達に伴う問題やFIDIC契約約款の役割について焦点を当て、FIDICが最適な契約方法を普及させるのに役立つものである。
FIDICは、その行事に向け、フランス語圏の加盟協会に委託してFIDIC 土木建設標準契約約款のフランス語への翻訳を進めている。目標は契約約款のトレーニングコースやトレーニング教材をフランス語で用意することである。フランス語によるトレーニングはFIDICの豊富なトレーニング行事のプログラム(契約約款に関するもので2006年はおよそ15件)の中で、大きく欠如しているものである。

G.アフリカ開発銀行が公正管理システムワークショップを支援

2005年8月、FIDIC代表団がアフリカ開発銀行(AFDB)を訪問中、FIDICとAFDBは、FIDICアフリカ諸国協会グループ(FIDIC Group of African Member Associations)の2006年度会議(タンザニア、2006年3月)用に計画されたFIDICのビジネス公正管理システム(BIMS)のワークショップを同銀行が支援することで合意した。政策と手続きを策定することによって汚職を撲滅することを目的とする銀行の中心グループは、金融操作における汚職の防止と撲滅のためのガイドラインの原案を作成し、汚職・詐欺防止ユニット(汚職・詐欺行為取締委員会)を設立し、「告発」プログラムを実施することを勧告した。処罰が導入されることになろう。企業を名指しすることについては、議論が交わされた。FIDICは、十分な調査を行わないで、低い実績や、能力の不足を理由にして、ブラックリストを作成しないように注意した(アフリカ開発銀行は、能力の低さが詐欺行為と結び付いていると見ている)。代表団は、技術力レベルに基づくコンサルタント選定(QBS)が、技術力の不足およびその低い技術力と汚職との結び付きを大幅に解消すると指摘した。

H.銀行の訪問に引き続き、共同発議を計画

当時のFIDIC会長Richard Kell、FIDIC理事Bayo AdeolaおよびANBEIC-Tunisia会長Nabil ChaterからなるFIDIC代表団は、2005年8月末、チュニスのアフリカ開発銀行(AFDB)本社を訪問した。調達責任者John Mensah-Quainooは、AFDBが、毎年、25億米ドルを支出しており、その大半は、無償援助、借款および共同融資であることを指摘した。そのうち約50%は、インフラ施設に対しての支出であり、その大部分がFIDIC契約約款・略式契約約款を使用している。また、新しい多国間開発銀行(MDB)整合調整済み建設契約約款の使用権取得も計画している。
打ち合わせの後、FIDICがプロジェクト機会について公表し、銀行のコンサルタント選定ガイドラインのドラフト改訂版についてコメントすることで合意した。FIDIC代表団は、国内のコンサルタントがもっと参加できるように強力に推奨し、アフリカ開発銀行は、そのためにはエリア内で新しい政策が必要になると認識している。 アフリカ開発銀行は、アフリカ訓練協会(African Training Institute)を通じて、借手に幅広いトレーニングを提供した。そして同協会総裁Karim Millettは、プロジェクトの監理の質が相変らず問題だと指摘した。また、今まで欠けていた民間部門における能力開発を進展させるため、FIDICが同銀行の事業機会セミナーに対し提携のプロポーザルを提出することで合意した。

I.ビジネス公正管理システム(BIMS)採用企業の急激な増加

BIMSを採用する企業数が急激に増加している。Felip Ochoaが責任者を務めるFIDICの公正管理タスクフォースは、FIDIC 2005会議のワークショップで、“2005年7月に実施された調査では、90の回答企業のうち、17カ国の50社がFIDICのガイドラインに従ってBIMSを実施したか、あるいは間もなく実施する予定であることが判明した”と報告した。BIMSを採用していない回答企業の約80%は、要求事項を認識していないので、FIDICおよびFIDICの加盟協会は、認識を高めるための措置を講じることになる。

 

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