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FIDIC NEWS (December 2005)

<和文抄録>

訳責:国際活動委員会 IFI分科会
A.インドでトレーニングセンター開所

FIDICの新しいトレーニングセンターが、12月12-13日に、インド、ニューデリーで成功裏に開所した。オープニングとして、India Habitat Centreで開催されたFIDICの契約約款セミナーには、FIDICの加盟協会であるCEAI (Consulting Engineering Association of India)や賛助会員CDC (Consultancy Development Centre)を含む 32団体が参加した。セミナーはFIDIC及び CEAIとCDC及びそれらのトレーニングパートナーであるITC (Intercontinental Consultants and Technocrates Pvt. Ltd.) の共催で開かれ、インド、アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュから参加したおよそ100名の参加者による精力的な討論が、契約約款に関するトレーニング・セミナーをインドで開催することとしたFIDICの判断が正しかったことを裏付けた。2006年には同様なセミナーをムンバイ、チェナイ、カルカッタ、ニューデリーなどの主要都市で開催する予定である。

B.FIDICは重点活動項目について世銀と協議する

増大するインフラ整備需要に対応するため、多国間開発銀行が活動を活発化させるに当たり、品質重視の(コンサルタント)選定方式、能力開発 及び ビジネスにおける公正管理が各多国間開発銀行の間で優先順位の高い議題となっている。コンサルティングエンジニアリング各社はそれら開発銀行が融資するプロジェクトに高い関心を持っているため、多国間開発銀行は、FIDICを重要な協議相手とみなしている。2005年12月初旬に世銀と持たれた協議の中で、FIDICのDiaz Padilla会長とEnrico Vink 事務局長は、プロジェクト品質評価などの特定活動項目を発展させることを目指して、いくつかの先導的活動について討議した。最近の協議の場では、世銀が提唱しているところの“国際的な融資を受けるプロジェクトにおける各国特有の購買方式の採用”が討議の中心になっている。この動きは、各開発銀行間の購買手続きを出来るだけ共通化しようとする動きが、銀行側がFIDICのMDBハーモナイズド版(多国間開発銀行共通版)建設契約約款のライセンス使用に合意したことにより、大きく前進したことを受けたものである。

C.2006年アジアパシフィック地域会議では貧困の軽減を目標に掲げる

今世紀の開発目標である貧困軽減におけるコンサルティングエンジニアの役割及びその貢献は、コンサルタント業界の2006年アジアパシフィック地域会議(5-8 March 2006, ダッカにて開催)において重点議題となるであろう。この会議はTCDPAP (UN Technical Consultancy Development Program for Asia and the Pacific)とASPAC(the Asia-Pacific Grouping of FIDIC Consulting Engineers)との共催で開かれる。コンサルティングエンジニアは重要な役割を担うことが明らかなので、会議では具体的な貧困対策案を明らかにすることを目標とする。また同時に重要なのは、薄幸な人々の生活改善を通して貧困を大幅に改善する最善の策は、持続可能で高品質な貧困対策案であることをアピールすることである。会議では開発融資機関が討議の主体となることと期待され、アジア開発銀行がテーマ発表をするものと思われる。地域全域のコンサルティングエンジニアそして彼らの客先機関・組織は奮って参加されたい。FIDICからは、講師・話題提供者としてとしてDiaz Padilla会長、Enrico Vink事務局長他が参加の予定である。

D.2006年FIDIC大会のためのビジネス指向プログラム

FIDIC, EFCA(European Federation of Engineering Consultancy Association) 及びその加盟協会であるハンガリーAHCEA (Association of Hungarian Consulting Engineers and Architects)が主催する2006年FIDIC大会(於ブダペスト、9月)のプログラムは、新しい、ビジネス指向的な形式を取ることになろう。そのお膳立てをするために、本会議に続く、最善の購買方式とプロジェクト実施方式に関するワークショップでは、プロジェクトの購買と実施のために開発されつつある新しいツールに焦点があてられるものと期待されている。もうひとつの焦点は、コンサルティングエンジニアリング会社が将来に備える時に影響を与える重要な論点に対して当てられている。そして、地方、地域そして全地球的なレベルにおける実例で、新しいやり方が市場でどのように適用されるのかを示すことになっている。これらの詳細は、2006年の初めから入手できる。それまでの間、プロジェクトの購買に関する最近の進展状況に興味を持っている人は、活動的で参加必須の2006年FIDIC大会に参加すべく2006年9月24日から27日までのスケジュールを空けておくことを推奨するものである。

E.アフリカ地域グループGAMAの2006年地域会議

FIDICのGAMA(Group of Africa Member Associations)が主催する2006年コンサルティングエンジニアリングアフリカ地域会議は、タンザニアの首都ダルエスサラームに程近いバガモヨにて2006年4月2日から5日にかけて開催される。銀行幹部に加え、FIDICからもDiaz Padilla会長およびEnrico Vink事務局長が参加する予定である。会議では、民間セクターの育成、およびアフリカ連合の枠組みであるNEPAD (The New Partnership for Africa’s Development)のもとでのアフリカ開発銀行の役割について焦点が当てられる予定である。FIDICは、この地域における、進歩したかつ持続可能なコンサルティング業界の育成という戦略的目標達成のために、このような活動を出来るだけ積極的に支援して行く考えである。現在検討されているその他の先駆的活動は、ナイジェリアとケニヤでその地方のコンサルタント会社を指導育成するようなビジネススクールの構想が挙げられている。FIDICのトレーニングコースは、SAACE (South Africa School of Consulting Engineering)を通してすでに提供されている。

F.共通版契約約款の翻訳が進められています

各方面の要望に答え、いくつかの機関が、最近出版された(2005年5月)多国間開発銀行共通版FIDIC契約約款を翻訳出版する計画を表明している。インターアメリカン開発銀行は、FIDICから翻訳権を得た協賛銀行の一つであるが、スペイン語版翻訳を計画しており、中国のCNAECも中国語版出版を打診して来ている。またその他のいくつかの加盟協会からも同様に、翻訳出版の打診がFIDICに来ている。協賛銀行が翻訳出版を行う場合の許可条件には、FIDICの合意を得ること、及びその翻訳版をFIDIC及び他の協賛銀行にも無償で提供することなどが含まれている。
すべての主要多国間開発銀行は、既に、共通版契約約款をそれら銀行融資のプロジェクトに使うための合意書にサインを済ませている。共通版契約約款をプロジェクトに使えば、貸付側、借り入れ側またコンサルタントにとっても、不必要な官僚的仕事の障害が小さくなり、経費削減の面で大きな効果をもたらすことになる。コンサルティングエンジニアリング業界は、多国間開発銀行でも、今後可能な限りいつでも、現在広く普及しているFIDICの契約約款に基づいた購買書類と同様ものが使われるという大きな安心感を持って働くことが出来る。北欧開発基金(Nordic Development Plan, NDF)だけは、近々解散するので共通版契約約款の使用に関する合意書に今は署名しないことを表明している。しかしながら、NDFは、合意書に書かれているすべての責務を履行し、購買手続き共通化推進の強力なサポーターの一員として、客先に、FIDICの契約約款を導入するようアドバイスする予定である。

G.紛争裁定人評価のワークショップを計画中

FIDIC会長の認定紛争裁定人リストはFIDICがFIDIC契約約款の条文により裁定人を選定する必要が生じた場合、経験豊かな裁定人を任命できるようにするために作成されたものである。リストに載せる裁定人は、FIDIC加盟協会を通しての会員か、協賛会員または賛助会員でなくてはならず、また2.5日間の裁定人評価ワークショップ(AAW)を経験しなければならない。次回の(AAW)参加希望者の募集は2005年の11月に各加盟協会に送られ、12月22日に締め切られた。応募書類は現在評価中で、もし書類審査を通った参加候補者の数がある程度まとまれば、ワークショップは英国で2006年3月に開催される。遅れての応募も考慮されるかもしれないので希望者はFIDICまで連絡するか、FIDIC.org/dabにて相談されたい。

H.能力開発プログラムが組織内の教育訓練にも適用されている

2005年後期にアジア、ヨーロッパ及びカリブ海諸国で開催されたすべてのイベントは、数百のコンサルタント、コントラクター、法律家、及び客先関係者が1日から2日間のセミナー、ワークショップ及びコースに参加し、FIDICの契約約款トレーニングの人気の高さを立証するものとなった。 2006年もまた同様な数々のイベントの盛況で始まることになる。詳細は、最適なイベントを探している人々の為に、より多くの情報とより簡単なアクセスを提供すべく開設されたサイト、FIDIC.org/eventsにて得ることが出来る。
新たなマーケットにおけるFIDIC標準の重要さが認識されるにつれ、客先関係機関は、特に契約管理や購買における彼らの能力を高める為に、より多くの場面においてFIDICに支援を仰ぐようになってきている。その要求に応えるため、FIDICは、有力なサプライヤーと協力して、組織内のトレーニングを開催している。例えば、FIDICは2006年一月に、コソボの公益企業において、2日間のFIDIC契約約款コースを開催した。この方式のコースでは、参加者が公式な修了証が受けられること、及び、FIDICの書類を手に入れることが出来るという利点がある。コソボのような国で見られるように、投資活動の活発化はコンサルティングエンジニアに大きな活動の機会を与えており、FIDICにもまたその能力開発プログラムと確立されたコースの数々で活動の機会を与えている。

I.東京とパリでプロジェクトの持続可能性の推進が図られた

温室効果ガスの排出はその40%が都市部で発生しており、採取採掘される資源のおよそ半分は建築物のために費やされている。従って、持続可能な建築・建設の奨励は、政府や国際機関にとって主要な優先事項である。 平均的な建物の供用期間80年にわたる持続可能性を実現することは重要である。この分野におけるFIDICの主要な貢献は、プロジェクトの目標を定義し、規格に基づいた実行方法を確立することを目標にした、プロジェクトの持続可能性管理(Project Sustainability Management, PSM)である。FIDICの総支配人Peter Boswellは、建物の評価システムを展示した、2005年サステナブル建築世界会議(於:東京、9月27-29日)に招かれ、PSMに関して講演を行った。これらのシステムは、例えばライフサイクル解析や個々のサイトに即した設計等と統合されることにより、益々複雑になってきている。PSMは評価システムと相まって、承認された社会全体の目標として引用される広い範囲の持続可能性目標を定義、実行することにより、効果が発揮される。
その2-3日前に、FIDIC副会長John BoydとPeter Boswellは、環境改善への行動のための協力を発展させることを目的とした、UNEP(United Nations Environment Programme, 国連環境計画)と産業界との会議(於:パリ、10月22日)に出席した。UNEPの産業セクタースコアカードを通して、PSMは、参加者の間で、実用的でプロジェクト毎の持続可能性増大に向けて社会を動かす、素晴らしい独創的方法であると認識された。FIDICのその会議での目標は、鉱業、運輸、水道及びエネルギー分野の客先産業界との間でPSMのプロジェクトへの適用に関して、協力関係を確立することであった。

 

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