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FIDIC NEWS (March 2006)

<和文抄録>

訳責:国際活動委員会 IFI分科会
A.活動(Activities)

ブタペストでの2006年FIDIC大会の概要が発表 (Budapest 2006 conference takes shape)
9月24日から27日にかけてブタペストで開催されるFIDIC大会における欧州、アジア及び中東からの基調講演者による講演テーマが明らかになった。最良のプロジェクト調達方法、会員企業への影響が想定される業界動向、プロジェクトの品質確保のための要件について発表される。出来るだけ早く登録をお願いする。早期割引の適用は7月15日で終了する。また、大会価格でのホテル予約、ツアーやオプショナルイベント参加の支払いは8月15日までに済ませられたい。
多くの重要な会議が大会前に予定されており、23日土曜日には会員協会の事務局長及び名誉事務局長による特別会議がある。その後、24日日曜日に会員協会長の特別会議がある。FIDICの若手技術者マネジメント研修プログラム(YPMTP)への参加者は、大会開催前にそのプログラムを完了させる。Gala-dinnerは、火曜日の夜に世界的に名声の高いGellert Hotelで行われる。FIDIC及び協賛しているEFCAの総会(GAM)はそれぞれ27日水曜日に開催される。

B.行事(Events)

2006年若手技術者マネジメント研修プログラムが進行中 (Young professionals 2006 training programme gets underway)
18カ国からの30余名の参加者が2月の上旬にオンライン上で会合し、YPMTP2006年版をスタートさせた。会社はこの将来のリーダー達を喜んでサポートする。彼らはオンラインで約7ヶ月研修する。与えられる課題は、成長と利益のための戦略、コンサルタントサービスの市場開拓(マーケティング)、人材開発と企業の所有形態である。ケーススタディが行われ、多くの優れた経験を共有し、各参加者は得られた価値を会社や協会に持ち帰ることが出来る。FIDICもまた、こうして共通の専門知識を取得している。このプログラムは大会の終了とともに終わり、大会の趣旨を反映した特別なワークショップが行われる。
研修生の中にウガンダ から参加しているSara Senyondoがおり、新しく設立された”FIDIC歴代会長による将来的リーダー奨学金制度(FIDIC Past Presidents Future Leader Scholarship)”の最初の対象者となった。Saraは賞を貰って大変感激したようである。そしてこれによって若手技術者マネジメント研修に参加することができ、年次大会にも参加することが出来るようになった。この奨学金は開発途上国の会社を対象とし、そのマネージャー候補者に対して授与されるものである。彼らは、FIDICのプログラムによって提供される世界的な基準に触れることによって利益を得ることができるだろう。

■予定されている訪問や会合 (Forthcoming visits and meetings)
GAMA Annual Conference, Bagamoyo, Tanzania, 20 Apr- 5 May2006
FIDIC-ACEA Project Sustainability Management Workshops, Australia, 2-5 Apr 2006
FIDIC Adjudicators Assessment Workshop, UK, 27-29 Apr 2006
FIDIC-Cornerstone Contracts Workshop, Cairo, 25-26 Apr 2006
FIDIC-ECV Contracts Course, Bucharest, 10-11 May 2006
FIDIC-ECV Contracts Course, Zagreb, 25-26 May 2006
Les journees internationales de l'Ingenerie, Tunis
- Contracts Seminar, 7 Jun 2006
- SISE Salon Workshops, 8-9 Jun 2006
International Consulting Engineering Conference, Budapest, 24-27 Sep 2006

■契約約款 (Contracts)
銀行との協調によって作成された新しい建設契約約款(New bank harmonised Construction Contract)
多国間開発銀行(MDB)は、2005年5月に出された銀行融資プロジェクトに関するFIDIC建設契約約款のMDB協調版の初版のテストを行ってきた。その結果、銀行の必要とする事項を満たすためにさらなる追加や修正の要求がFIDICに対してなされた。そして全般にわたる協議により、FIDICとの同意に至り、2006年3月改訂版を出すこととなった。約款の汚職防止の節は、定義を合わせるために、各銀行の使用する用語の調整が行われた。そのため印刷版では、この節は各銀行が活用しやすいように別のページに置かれている。使用する場合に行うことは、関係しないページを切り離すことぐらいである。このような形で一般条項(General Conditions)における公正性(integrity)と誠実性(authenticity)を確保するようにしている。一般条項は主な土木事業もしくは同等の事業に対する各銀行の標準的入札書類に取り込まれる。一方、FIDICは正式かつ完全に定型化した一般条項を www.fidic.org/mdb からのダウンロードにより、確実に配布できるようにしている。特別条項(Particular Conditions)に関する様式を含む全約款の電子版はFIDIC書店から入手できる。そして第3者へ配布される場合に備えて、一般条項の真正を保つため厳密なアクセス保護をかけている。この契約約款協調版に関し、FIDICはFIDIC契約関連の研修コース、ワークショップ及びセミナーを数多く提供している。

■信頼の厚い相談役との別れ(FIDIC says farewell to a trusted adviser)
長い間FIDICのサポーターとして活躍してくれたJohn BowcockはFIDICの契約委員会と最後の会議を行うこととなった。会議の中で彼は、12年間にわたり様々な分野に貢献した。FIDIC-EC及びFIDIC会員を代表してEnrico Vink FIDIC事務局長から、貢献に対する認定証と記念額が授与された。Johnは多くのFIDIC活動について思慮深く、価値のあるアドバイスを行ってきた。そして1999年にFIDICの最高栄誉賞であるPrangey賞を与えられ、コンサルタント業務から引退した後も引き続いて貢献した。彼の見識は、すべてのFIDICの契約約款を見れば明らかである。委員会の作業部会は、浚渫契約約款を作成したところであり、その初版を2006年3月に発行した。委員会はFIDICで幅広く使用されている発注者・コンサルタント間の標準役務契約条件書(Client-Consultant Model Services Agreement、The White Book)を改訂するという難しい仕事に取り組んでいる。このWhite Bookは、共同企業体合意書(Joint Venture Agreement)や下請合意書(Sub-consultancy Agreement)も含んだ内容となる。そして、委員会の他の作業部会では、入札手順書(Tendering Procedures)の改訂作業や下請建設契約約款(Construction Contract subcontract)と新たな設計・施工・運用一括発注契約約款(Design-Build-Operate Contract)の策定作業を実施している。(一般条項は2006年9月のFIDIC大会にてドラフトが公表される予定。)

■解説(Representation)
スウェーデンが外に目を向けている(Sweden looks outside the box)
グローバル化された世界では新しい思考が求められ、それによって激烈な競争市場の中で先頭に立つことが出来る。スウェーデンの会員協会であるSTDは2005年後半にセミナーを開催し、機に応じて投資することが必要とする考え方へのパラダイムシフトについての情報交換を行った。プレゼンテーションや討議の中心議題は、市場の動きは業界を標準化しようとしたが技術革新やコミュニケーションが上手くいくと、コンサルタント会社に成功をもたらすことが出来るというものであった。我々はアイデアの世界に生きており、そしてコンサルティング・エンジニアリングとは結局アイデアを売るということだとSTDは言っている。セミナー終了後に会社間で繰り広げられた重要なネットワーキング(交流)の結果、そこで得られたアイデアがよい影響をもたらしつつあると示唆されたようである。今後の活動は、繁栄のための技術革新を可能とし、競争有利を作り上げるための創造性を如何に高めていくかについての方法論を明らかにする内容となるであろう。その中には“洗練された建築(Building Smart)”があり、それは建物を改善するためのモデリングに注目したものである。STDは創造性の指導者(creativity guru)であるRichard Floridaと協働してきている。彼は「如何に箱の外側(殻の外)のことを考えていくか(think outside the box)」というおもしろい観点でものを考える人物である。


C.ビジネス実務(Business practice)

■アジア開発銀行(ADB)の調達手続き (ADB procurement procedures)
2005年にアジア開発銀行(ADB)では、技術援助向けに約3億ドルを充当したので、ADB融資プロジェクトによるコンサルタントの受注機会が増加している。コンサルティング・エンジニアリング業界を世界的に代表するFIDIC(国際コンサルティング・エンジニア連盟)を含めた市場の意見を反映し、ADBは透明性と効率性を一層高めていく方向で、コンサルティング・サービスの調達手続きを調整してきた。今後、個人や企業の指名はこうした変化の影響を受け、財政改善のために業務は数件ごとにまとめられる。新規プロジェクト業務指示書(Project Administration Instructions)は、ADB融資を受けたプロジェクトと技術援助プロジェクトを管理するADB職員が順守すべき手続きの概要を記載したものである。こうした手続き変化に影響を受ける加盟企業は、2006年4月1日の新規手続き実施までに新規指針書に精通されたい(www.adb.orgを参照されたい)。こうした手続き変更の主な動因は、スリム化(60日から40日へ手続き時間の短縮)、協調化(今や手続きの約90%は他の主要開発銀行の手続きとすでに一致)、透明化(より多くの情報を提供し、事前説明会(debriefing)が一層重要になる)、近代化(インターネットの利用推進、業務成績に基づく特定の導入)である。
FIDICのJorge Diaz Padilla会長、Enrico Vink事務局長、Xie Shaozhang理事は、2006年2月の当銀行訪問時に新規手続きについて概要説明を受け、手続き改訂のレビュー段階に対するFIDICの積極的かつ有益な貢献に対して幹部職員から謝意を表明された。FIDIC代表団としては、率直かつ自由な意見交換ならびに大成功を収めた2005年FIDIC北京大会におけるADBの多大な支援に対して感謝の意を表明した。

■サービス内容の設定に関する補足調査開始 (Complementary studies of scope of service definitions launched)
サービス調達の透明化を図り、自由競争を阻む技術的障壁を削減または撤廃するために、FIDICではコンサルティング・エンジニアが提供する各種サービス内容の標準設定に向けて努力している。FIDICでは、その補足プロジェクトの一環として、EU内のコンサルティング・サービス標準化の可能性について調査することになっている欧州連合(EU)の出資案件において、欧州コンサルティング・エンジニア連盟(EFCA)とも協力している。EU調査の方がはるかに大規模で、欧州諸国の現行システムに関する調査も含むものであるが、FIDICの活動も貴重な情報を提供する。逆に、EU調査結果もFIDICが現行のサービス内容の定義を確認する一助となるであろう。FIDICとEFCAがハンガリーの加盟協会AHCEAと提携して共同開催する2006年FIDIC大会(ブダペスト、9月24‐27日)では、その進捗情況が報告されよう。

D.ビジネス開発 (Business development)

国連環境計画(UNEP)の持続可能な建築・建設構想の発足 (UNEP’s Sustainable Buildings and Construction Initiative Launched)
省エネルギー・省資源建築法や建築物を推進する方法を見つけるのは、挑戦的試みである。というのは、こうした活動はいくつかの産業部門に渡り、広範な技能を必要とするが、そうしたことが可能な主要事業者が殆どいないからである。FIDICのプロジェクト持続可能性管理(PSM = Project Sustainability Management)は、プロジェクト目標をこうした世界的な目的に合致させる手続きを踏むことから、建築法と建築物の持続可能性を保証する世界的アプローチを採用している。これまでの各種規制や基準に基づくアプローチは各構成部品の持続可能性要求の基準設定を目指しているものであり、最終結果が持続可能であることを保証しない。その意味でFIDICのPSMによるアプローチとは対照的である。UNEPなどの国際機関は、実効ある各種戦略を策定かつ試行する上で重要な役割を持っている。それゆえ、台湾のSinotech社などの企業が2006年3月初旬に発足するUNEPの耐久建築・建設構想(Sustainable Buildings and Construction Initiative)の支援に同意しているのは心強い。その創設メンバーであるFIDICは、新規アプローチとりわけPSMを実施する上で、いくつかの団体や加盟企業と提携することに期待をかけている。

E.倫理と公正 (Ethics and integrity)

■汚職行為防止論議に参加するFIDIC (FIDIC participates in anticorruption discussions)
FIDICのJorge Diaz Padilla会長は、2006年1月にブリュッセルで開催された汚職防止政策円卓会議に参加した。この会議は、不正行為と汚職行為の撲滅に取り組む欧州委員会(EC)の組織であるOLAFとトランスパレンシー・インターナショナル(TI)により開催され、防止制度の分析と企業のブラックリスト作成を中心議題としたが、FIDICでは制裁よりもむしろ予防について検討する必要性を強調した。トランスパレンシー・インターナショナル(TI)、欧州委員会(EC)、経済協力開発機構(OECD)、国連(UN)、世界銀行(WB)の代表以外に、欧州コンサルティング・エンジニア連盟(EFCA)の開発提携委員会(Partnership for Development Committee)のRobert Couturier委員長も民間部門の代表に加わっていた。FDIC大会にてドラフトが公表される予定。)

F.イメージ (Image)

■中国トレーニング・センターは資格認定を模索 (China training center explores certification)
FIDICでは長年にわたってコンサルティング・エンジニア資格基準という概念を奨励してきた。この現実的な推進方策を見つけることは挑戦的試みであったことは実証済みである。中国にはこうした概念に対する強い支持がある。この国では、コンサルティング・エンジニアの資格と経験を業界が何らかの形で正式に認定すれば、大きな便益があるとみなされている。北京の清華大学にあるFIDIC‐清華トレーニング・センターでは、FIDICと共働して、一定の資格認定基準を検討してきた。この認定基準には、基礎的なビジネス上の技能に加え、公正管理や持続可能性管理[FIDICの実施手引書(Guide to Practice Manual)に記載]とともに、調達手順とFIDIC契約約款[FIDIC契約約款マニュアル(FIDIC Contracts Manual)に記載]に関する知識が含まれる。中国では現在、パイロットプロジェクトに対するスポンサーを募集中であるが、もっとグローバルなスキームに対する提案を策定するには若干時間がかかると予想される。1月中旬にジュネーブで開催されたFIDIC実行委員会で検討された中国におけるスキームの準備については、2006年3月にFIDIC派遣団がトレーニング・センターを訪問した時に論議された。

以上

 

 

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