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FIDIC NEWS (May 2006)

<和文抄録>

訳責:国際活動委員会 IFI分科会

A.活動 (Activities)

2006年FIDIC大会(ブタペスト)プログラム発表(Programme finalized for 2006 conference)

2006年FIDIC大会のプログラムが最終決定された。この会議は9月24日から27日にかけて、ブタペストで開催される。印刷版も広く配布された。会員は早期登録割引料金の恩恵を得られるように早急に登録されたい。各メンバー協会の会長・事務局長・事務局員と名誉理事はこの重要な会議への出席を予定表に記入しておくことを奨励する。会議では、コンサルティング業界、協会、会社が直面する重要な問題について議論する。また、専門分野を問わずすべてのCE会社もまた、このユニークな機会からの利益を得るように、事前の計画を立てることを奨励する。この会議では事例から得られた知見を共有し、新しいツールや提携の可能性を見つけ、最新のビジネスの進展について知ることが出来る。ビザを必要とする方はハンガリーの主催協会AHCEAに早急に連絡されたい。

■アジアのCEが貧困の軽減を手助け(Asia’s consulting engineers help alleviate poverty)

貧困との戦いには基本的なインフラの整備が重要である。これは2006年3月にダッカで開催されたFIDICのASPACアジア太平洋地域会議でのFIDIC会長Jorge Diaz Padillaと事務局長Enrico Vinkのキーメッセージである。主催はFIDICナショナルメンバー協会であるバングラデッシュのCE協会で、招待者には政府の高官、アジア開発銀行バングラデッシュ国担当部長Hua Du、パキスタン、韓国、中国、シンガポール、ネパール、インドからのFIDIC ASPAC協会代表が含まれていた。
同様の会議のモデルとしてよく考えられた組み立てに従がって、エンジニアリングの役割とそのインパクトがどのようにモデル化されるかについてのプレゼンテーションによって、会議のテーマは設定された。バングラデッシュとインドの国レベルでの事例、住宅と交通のセクターレベルでの事例を概観し、地方の町への道路の接続によって何千ものコミュニティーが医療機関や政府援助チーム、エネルギーと水のサービス供給へのアクセスが可能になったことによって、経済的、健康的な条件を改善した事例を紹介した。
最後にプロジェクトレベルとして、Mahbub Haque開催国協会BACE会長・副開催者であるTCDPAP地域開発計画会長が貧困軽減に大きなインパクトを与えた特定のプロジェクトについて紹介した。
CEが行う重要な役割がバングラデッシュの高官との別の会談で確認された。調達ルールを改定中であり、新しい手順はCEが公平により大きなスケールの業務にも参加できるように腐敗防止に関しても考慮されるであろう。ASPAC2006会議での発表資料の印刷物はFIDIC事務局から得ることができる。ASPACのウェブサイト上でも得られるようになるであろう。

■ヨルダンのコンサルティングエンジニアリング業界が大発展を模索(Jordan’s consulting engineering industry seeks prominence)

ヨルダンのCEは国内的にも国際的にもすばらしい名声を得ている。彼らは中東のコンサルティングエンジニアリングサービスの主要な供給者であり、その多くは建設ブームから利益を得ている。会社、事務所、個人エンジニアがヨルダンエンジニアリング協会(JEA;CE6500名、1300社)に登録している。大きな会社と国際的に業務を行っている会社は、彼らの業界の統制、情報管理、広報、サービスの準備のために、ある業界組織の必要性に直面している。彼らは建築とエンジニアリングのフォーラム(AEフォーラム)を立ち上げた。それはアンマンの中央にあるJEA所有のビルに事務局を設けて2005年中盤に業務を開始した。ヨーロッパ連合の資金援助を得た、ビジネスをサポートする機関を手助けする役割も担う開発計画の一部として、FIDICと大きなFIDICメンバー協会の一つがAEフォーラム役員会に出席するために招待された。目的はこのフォーラムを如何に発展させ、国際的に統合するかについて議論することである。VBI-ドイツのKlaus Rollenhagen事務局長とPeter Boswell FIDIC事務局長のプレゼンテーションがあり、「監督庁に新しい協会の立場が承認された暁には、おそらくFIDICの会員登録の申請をする」と言う旨の合意がなされた。

■アフリカのエンジニアが地域協力を見直し(Africa’s engineers review regional cooperation)

アフリカのCEがタンザニアのバガモヨで2006年4月初旬に開催されたFIDICグループのアフリカメンバー協会(GAMA)会議で会合を持った。この会合はエンジニアリングコンサルタンシーにおけるネットワーク化と協力に関するレビューをおこなうために開催する第13回GAMA年次総会のためのものである。タンザニアインフラ開発省部長Abisai Tembaは、NEPADの主要な注目事項は経済的に不利な問題に対処するためには地域の連携を推進することであると強調した。進捗は民間の貧弱な連携とひ弱な公共機関が原因となってずっと遅れていた。
一つの解決策は地域の資源の活用であった。数編のプレゼンテーションが入手可能な素晴らしい地域の能力の例を紹介した。もう一つの解決策は、公共機関のフレームワークの強化である。ここで再び出席者はタンザニアエンジニア登録委員会のB.L.M. Mwamilaと会議主催協会であるタンザニアCE協会のExaud Mushi会長から素晴らしいタンザニアの事例を聞いた。
出席者はまた、バーチャルエンジニアリングとリスクマネジメントに関するプレゼンテーションによってビジネス手法の最新の発展状況を知ることが出来た。出席者に対して汚職防止政策に関する情報とガイダンスの必要性を示されたFIDICワークショップの最終日もまた会場は満室状態であった。元FIDIC会長のEigili Pedersenの手助けを受けながらFIDIC会長Jorge Diaz Padillaが、ゼロトレランスに関するFIDICのポリシーと贈収賄に対処するためにFIDICによって開発されたツール、いわゆるビジネス公正管理システムについても概説した。最後に、忙しい3日間をまとめるために、FIDIC理事会メンバーの一人であり、FIDIC GAMA 作業部会を主導しているBayo Adeolaが、その作業部会のドラフトレポートを要約して報告した。会議での発表資料の印刷物はFIDIC事務局から得ることができる。また、GAMAのウェブサイト上でも得られるだろう。

B.行事(Events)
北アフリカでプロフェッショナルサービス展示会開催(Professional services exhibition to raise industry profile in north Africa)

2006年6月8−9日にチュニスで開催予定の主要な政府後援を受けたSalon International des Services (SISE) に関連して業界のプロファイルを引き上げるために“FIDIC days” を組織する計画が急速に進んでいる。6月7日にFIDIC契約約款セミナーが開催される予定である。これは将来の契約約款研修コースに繋げるように初めてのフランス語によるセミナーとしてFIDICによって組織される。そして、6月8-9日のプロフェッショナルサービス展示会とフォーラム開催中に平行して開催されるFIDICワークショップへと引き継ぐ。
この行事は、FIDICのチュニジアメンバー協会ANBEICが準備を進めてきている。この機会は北アフリカでのビジネス機会について知りたい会社、また主要国からの政府調達担当官に会いたいという会社に大きな機会を提供するだろう。出席者はSISEのウェブサイトにリンクして契約約款セミナーに参加登録できる。この成功の可否は1999 年版FIDIC 契約約款のフランス語翻訳版の入手可能性にかかっている。準備は現在最終段階にあり、FIDICのフランス語圏の協会によるレビュー待ちである。また、MDBハーモナイズド版建設契約約款のライセンスを持っている多国間開発銀行はどの銀行がフランス語訳に対して責任を持つか検討中である。

■予定されている訪問先や会合(Forthcoming visits and meetings)

FIDIC-ECV Contracts Course, Zagreb, 25-26 May 2006
Cornerstone Disputes Resolution Workshop, Bucharest, 1-2 June 2006
VI Congreso Panamericano de Consultoria (FEPAC 2006), Rio de Janeiro, 4-6 June 2006
Les journees internationales de l'Ingenierie, Tunis
- Contracts Seminar, 7 June 2006
- SISE Salon Workshops, 8-9 June 2006
FIDIC-ECV Contracts Course, Brussels, 8-9 June 2006
EFCA GAM and Directors Meeting, Bucharest, 9 June 2006
FIDIC-ICC Contracts Conference, Hong Kong, 3-4 July 2006
>International Consulting Engineering Conference, Budapest, 24-27 Sep. 2006
FIDIC-ECV Dispute Resolution Course, St. Petersburg, 17-17 Oct. 2006

C.契約約款(Contracts)
MDBハーモナイズド版建設契約約款(多国間開発銀行共通版)の利用活発化に関心
(Interest in MDB Harmonised Construction Contract grows)

2006年3月にMDBハーモナイズド版FIDIC建設契約約款の新版出版して以来、銀行が資金提供するインフラ開発へのMDBの関心の著しい高まりがヨーロッパ開発銀行の評議会にライセンス取得銀行になることを促した。この関心の高まりは翻訳とトレーニングの大きな需要をもたらした。フランス語、スペイン語、ポルトガル語への翻訳が進行中である。FIDICは、1999年初版標準建設契約約款の数カ国語への翻訳を行ったメンバー協会を主とした出版者に、MDB版の他の言語への翻訳許可与えるように、手配中である。翻訳されたハーモナイズド版建設契約約款が、翻訳されたオリジナルの初版翻訳と整合していることを確実にするための惜しみない努力が重ねられている。南アフリカを始めとしたいくつかの地域がMDB契約約款を含むハーモナイズド標準入札書類を持つことになるので、研修への大きな需要生じている。他の地域においても、FIDIC契約マニュアルモジュールに基づいて目的と内容の概要を説明する契約約款研修コースとセミナーを開催する者は、そのプログラムにMDB契約約款を取り込んでいる。

D.解説(Representation)
コンサルティングエンジニアリングの経済的貢献をレビユー(Consulting engineering’s economic contributions reviewed)

第4回エンジニアリングコンサルタンシー会議が4月にアンカラにて、FIDICのトルコメンバー協会(ATCEA)によって開催された。この会議はコンサルティングエンジニアリングサービスの取引に関するものである。その2日目に、バルカン諸国での協働における障壁の打開に関する第2回バルカンフォーラムが開かれた。FIDICの会長やFIDIC事務局長の出席を得て、FIDICとの協働を目指す考え方に沿って市場状況についての情報と事例を共有した。出席者の顔ぶれにはトルコ、アルバニア、ギリシャ、ルーマニア、ブルガリアのメンバー協会のFIDIC代表が含まれていた。CEの役割、調達手順、報酬基準、標準化された契約書類の作成の解釈に関する議論が行われた。それらの問題については出席した全協会によって報告された。それらの議論はFIDICの最善のビジネス手法を紹介できるFIDICからの出席者によって白熱させられた。会議での発表資料はオンラインで得られる。ここでは、EU加盟機会とWTOの示唆、また、経済に与えるコンサルティングエンジニアリングの影響についてのパネルディスカッションに対してエンジニアリングコンサルタンシー協会のヨーロッパ連合とナショナルメンバー協会の代表による情報も得ることができる。バルカンの国固有の問題も発表された。

E.ビジネス実務(Business practice)
世界銀行の評価は能力開発プロポーザルへ(World Bank appraisal to lead to capacity building proposals)

世界銀行は、1987-1998レベルに立ち返ってインフラ投資に再度焦点を当てながら、経済発展と貧困の軽減に貢献するプロジェクトを始める世界銀行の能力と欠陥部を再構築するための対策について、最近レビューを行った(参照:インフラストラクチャー:世界銀行の過去20年の働きに学ぶ、2006年2月付け)。FIDICは、特定の分野においてサポートする提案書を提出する観点から学んだことに鑑みて、その能力開発計画の再評価を以前から要請されてきた。世界銀行のニーズに関する結論は6つのテーマに分けて、FIDICニュース項目の一つに要約されるだろう。一例として“世界銀行は今、結果を生むプロジェクトを支援する必要がある”では、提案された対策は、より適切、より革新的なプロジェクトの計画、より単純な調達手続き、より現実的な費用対効果の分析と収入源の評価、 より少ないセクターの幅広い前提条件、プロジェクト進捗のより正確な計測、インパクトと成果、持続的な公共開発における長期的な取り組みである。FIDICの提案書は政府、国際機関、コンサルティングエンジニアリング業界が行動する為の能力開発ポリシーに基づいて作られる。

F.ビジネスの開発(Business development)
アフリカの戦略計画を作業部会が最終取りまとめ中(Task force finalising strategic plan for Africa)

FIDICグループアフリカメンバー協会(GAMA)の作業部会がアフリカのための戦略計画のドラフトのキーとなる要素を最近のGAMA地域会議で公表した。その報告書(この記事の1.4を参照)は、ネットワーキングの改善、技能の開発、より多くの地域資源の活用に焦点を合わせている。近々最終版がまとめられ、2006年5月にメキシコで開催される次回のFIDIC理事会で発表されるだろう。この野心的な計画はアフリカ内での協働への建設的な取り組みと、地域にある資源の確認と活用のための現実的な機会も提供する。研修と開発もまた議事次第の上位に位置し、現地と外国からの訓練士を巻き込んで、多くの選択肢も検討されている。アフリカのインフラへの資金提供において著しい役割を果たしているアフリカ開発銀行からの援助が考慮されつつある。

G.倫理と公正(Ethics and integrity)
UN汚職防止出版物がFIDICを紹介(UN anticorruption publication showcases FIDIC)

「ビジネス対贈収賄」と題するUNの世界的に合意された契約の汚職防止原理に関する2006年4月の出版物は、ビジネスと一般社会の25例の中にFIDICのビジネス公正管理システム(BIMS)に関するケーススタディーを掲載している。BIMSは汚職防止原理を実行した場合の難しいジレンマを如何に取り扱うかの代表的な例”を説明している。この出版物はまた、汚職と贈収賄に関する大量の情報を揃えている。他の主要な汚職防止政策の中では、FIDICはトランスパレンシーインターナショナルを通じてBIMSの普及を奨励する活動を継続する。トランスパレンシーインターナショナルの有名なビジネス原理指導委員会はBIMSのウェブベースの自己評価ツールの試験運用結果について報告することになっている。BIMSはすでにDSTAIR(ボストンにあるNPO作成のソフト)の中に統合されている。これはウェブベースのツールで調達機関の適切な汚職防止戦略の選定を支援する。

H.イメージ(Image)
世界水フォーラムが当業界の役割に脚光(World Water Forum highlighted industry’s role)

第4回世界水フォーラムが“地球規模の挑戦のための地域の行動”をテーマとして、メキシコシティーにて開催され、2006年3月22日の世界水の日を最後に7日間の論戦を終えた。1500もの地域行動が発表された200のワーキングセッションに140カ国からの役人と代表者を含む、専門家、ジャーナリスト、NGO、会社、一般社会、若者の代表者など20000人に近くが参加した。フォーラム開始にあたって、日本の徳仁皇太子とオランダのWillem-Alexander 王子、モロッコの首相Driss Jettouが世界水チャレンジは地域レベルの行動に適合しなくてはならないことを強調した。FIDICは同日のセッション“持続可能な、確実な水の供給”を共主催した。この中では、日本とメキシコのメンバー協会AJCEとCNECのコンサルティング業界によってユニークな解決策が提案された。AJCEの山下佳彦は水の供給、質の確保とマネジメントに関連する地域の問題解決へのコンサルティングエンジニアリング業界の貢献に脚光を浴びせたプレゼンテーションを行った。

 

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