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FIDIC NEWS (July 2006)

<和文抄録>

訳責:国際活動委員会 IFI分科会

A.活動 (Activities)

FIDICブタペスト大会の準備完了(International conference set to go

FIDICからの38名に及ぶ欧州およびその他の国の講演者や支援者とともに、欧州コンサルティング・エンジニヤ協会連合(EFCA)とハンガリーFIDICメンバー協会(AHCEA)は、初めて3つの組織で運営するFIDIC大会(http://www.consulting2006.org)の準備が万端整ったことを確認する。全プログラムの詳細な内容がすでにFIDIC、EFCAそしてAHCEAのメンバーに回覧された。それによって、企業やその他の関心を持っている組織が2006年9月24日から27日にかけて伝説的な地-ブタペストで開催されるユニークなイベントのプログラムの内容とそこで得られるものを知ることができる。

初日の主役は中国、英国、ケニヤ、フランス、ハンガリー、インドそしてオーストラリアから基調講演者たちである。「未来への岐路に立つCE(Consulting Engineers at the Crossroads to the Future)」を会議のテーマとして、このエキスパート達は、CEの役割の変化、CE選定の最善の方法、そして、クライアントに代わってプロジェクトを仕立て、管理していく新しい手法について、その豊富な経験を分かち合うことになろう(www.consluting2006.org参照)。企業と会員協会はすばらしい実用的な情報だけでなく、将来への行動計画も持って帰ることになるであろう。

この大事な行事は今すぐ全員の予定表に入れて置かれたい。早期登録は7月30日までなので、早めに申し込まれたい。地元の主催者によると、ビザの発給作業には限度がある。参加者はビザが取れなくてがっかりしないように、早めの手続きを取るように要請する。ヨーロッパの夏は今盛りである。挙って参加されたし。


■ACEC年次大会においてアメリカ大統領が演説 (US President addresses ACEC convention participants

2006年のACEC-USAの年次大会にはワシントンDCで4月30日から5月3日にかけて開催された。1200人が参加し、その中にブッシュ大統領もいた。大統領の登場は世界中に報道され、国内のすべての主要メディアが取り扱った。大統領は「まず最初に申し上げたいことは、皆さんが国のためによい仕事をしてくれていることに感謝しているということです。あなた方の活躍がいかに重要であるかを私が承知していることを知っていただきたい。このことは大きい意味を持ちます。」と演説した。このほかのハイライトは、もうすぐ行われる選挙についての民主党と共和党の前国務委員会議長同士の熱い討論、自由競争ポリシー声明の採択、そして、技術者不足および民と官のパートナーシップ(PPP)に関する講演などである。FIDIC会長Dr. Jorge Diaz Padillaと事務局長Enrico VinkがACECのゲストとしてこの歴史的な出来事に参加した。


発注者とコンサルタントの契約条件書に関する調査(Client-consultant agreements survey

更新中の 発注者・コンサルタント間の標準役務契約条件書(いわゆるホワイトブック)のなかで、FIDICは各国会員協会から出版された発注者とコンサルタントの契約条件書の重要事項を比較している。この情報のなかのいくつかは各国の標準役務契約条件書確立を目指して政府と協力しながら奮闘している素案作成チームの中ですでに使用されている。発注者とコンサルタント間の契約条件書は当業界の重要な文書となることから、FIDICはこの作業の重要度を低く見積り過ぎるわけにはいかない。素案作成チームが至急要求とした事前調査の結果によると、面白い傾向が見られた。すなわち、供用開始後に発生する障害に備える性能担保(Performance Bonds)と保証はわずか15%の国でしか適用されておらず、ペナルティや限度のある保証が約50%の国で適用され、著作権は85%の国でプロジェクトの所有者に移管されている。このような傾向と詳細な見解を示す必要性に鑑み、FIDICは全会員協会を対象に調査を行っている。調査票はウェブサイト(http://www1.fidic.org/about/client06/)からも入手できるが、8月10日までに完了するように各国会員協会に発送された。

 

B.行事(Events)
能力に基づいたコンサルタント調達への指針(Qualifications-based procurement guide

2006年6月29日から7月1日にかけてニューファンドランド州セント・ジョーンズ市で開催されたカナダFIDICメンバー協会の首脳会議兼全国大会において、連邦政府によるインフラ・カナダ・プログラムとカナダ地方自治体連盟によって出版された「専門的なコンサルタントの選定について」という指針が発表された。同指針は、政府主導チームが、サービスの調達方法に関して、コンサルタントとクライアント間の共通の理解を創出する努力を行ったという点において特筆すべきである。同指針において、最善の方法には能力に基づいた調達体制の法制化が必要であること、また、それが無ければインフラ供給において全ての事業主がリーダーシップを発揮しなければならないであろうと結論付けている。FIDICを代表して出席したFIDIC事務局長のEnrico Vinkは、この機会をとらえてケベックでの2008年FIDIC大会の計画を進めた。

■チュニスでのコンサルティング・エンジニア・デイがFIDICのプロフィールを高めた(Tunis engineering days enhance FIDIC profile

チュニジアのFIDICメンバー協会であるANBEIC及びANBEICのNabil Chater会長の多大なる支援により、FIDICは、2005年6月7日から9日にかけてSISE(北アフリカ最大のコンサルティング・エンジニヤ協会)と共同で国際コンサルティング・エンジニアリング・デイを開催することができた。行事は、FIDICにとって最初のフランス語での契約約款に関するセミナーで始まった。同セミナーは、150人の参加者を引きつけ、政府の高官を議長として迎えた。参加者は、FIDICの建設、プラント及びEPC/ターンキー契約約款の出来たばかりの試験的なフランス語訳版を受け取った。FIDICからは、理事会メンバーのMaxime Mazloum及び部長のPeter Boswellが代表として出席した。また、セミナーのプレゼンターとして、Sebastian Hoek、ベルリンのDr. Hoek Stieglmeier及びパリBCEOMのMathias Dziubakが参加した。また、セミナー期間中、アフリカ開発銀行主催の2つのワークショップが開催され、それぞれ約80人が参加した。そこでは、地域の能力と能力開発の必要性が検討された。
FIDICブースへの100人を超える来客とGAMA(FIDICのアフリカグループ)からの支援により、SISEは、フランス語圏アフリカ諸国の専門的サービス産業を一つにし、北アフリカ地域におけるFIDICのプロフィールを高めることに確かな成功を収めた。直接接触があったのは、アルジェリア、カメルーン、チャド、レバノン、マリ、モーリタニア、セネガル、シリア及びヨルダンの協会であった。それ以来、FIDIC会員参加への興味を示す姿勢を見せている。2008年の次回行事は、FIDICとGAMA及びそれぞれのメンバーにとって、北アフリカとフランス語圏諸国におけるネットワークを広げるためのさらに大きな機会となることは確かである。今回の契約約款に関するセミナーは、また、現在すべてのフランス語圏メンバー協会に提供されるセミナー行事の先駆的な事例である。少なくとも、モロッコにおいてセミナー行事が計画されている。他の数カ国(マリ、アルジェリア、スイス及びチュニジア)も興味を示している。

■予定されている訪問や会合(Forthcoming visits and meetings

Tourism Africa 2006 Conference, Geneva, 10-11 Sep 06
FIDIC-ECV Dispute Resolution Course, Seattle, 18-19 Sep 06
International Consulting Engineering Conference, Budapest, 24-27 Sep 06
FIDIC/ACEL-Sri Lanka Contracts Seminar, Colombo, Sep 06
Cornerstone Dispute Resolution Workshop, Amsterdam, 5-6 Oct 06
FIDIC-ECV Dispute Resolution Course, Bucharest, 9-10 Oct 06
FIDIC-ICC Dispute Resolution Conference, Paris, 12-13 Oct 06
FIDIC/VBI-Germany/VUBIC/Germany Contracts Seminar, Cologne, 12 Oct 2006
FIDIC-ECV Contracts Course, St. Petersburg , 16-17 Oct 06
FIDIC-Tecniberia Contracts Seminar, Madrid, Oct 2006 (Spanish)
FIDIC-ECV Contracts Course, Brussels, 23-24 Oct 06
FIDIC/ACEI-India Contracts Seminar, Channai or Bangalore, 27-28 Oct 06
FIDIC/ACEI-India Contracts Seminar, New Dehli, 30-31 Oct 2006
10th Gulf Engineering Forum, Dammam, 28-31 Oct 06
UNEP Industry Associations Meeting, Paris, 29 Oct 2006
Cornerstone Dispute Resolution Workshop, Dubai, 14-15 Nov 06
Joint FIDIC-EIC Procurement Seminar, CEI Summit, Tirana, 23 Nov 06
CICA-IFI Meeting, Dubai, 26-28 Nov 06
FIDIC-ECV Dispute Resolution Course, Brussels, 27-28 Nov 06
FIDIC Contracts International Users Conference, London, 11-12 Dec 06


C.契約約款(Contracts)
ルーマニアがFIDICの契約約款を採用(Romania adopts FIDIC contracts

FIDIC契約約款の使用へのますます高まる関心を際立たせるように、ルーマニア政府は最近、FIDICとのライセンス契約に調印した。これにより、ルーマニアは、インフラ・プロジェクトに関する同国の標準契約約款として、翻訳されたFIDIC契約約款の一般条件を採用し、法制化することが可能となった。1999年版のFIDIC契約約款の翻訳版は、最初はFIDIC契約約款の訓練コース提供者であるECVによって作成された。ECVは、その著作権を2002年に設立されたFIDICメンバー協会であるARIC-ルーマニアに譲渡した。FIDICは、ARICとともに作業を行いながら、同政府がARICの翻訳版を採用することを確実にした。特殊条件書とそれらに関連するフォームに関する指針とともに、一般条件書の印刷物が完全な契約条件書としてまもなくARICから入手可能となる。それは、FIDICから出版された英語のオリジナル版を正確に反映している。ARICは、一国が国際的に認知されたFIDICの一般条件書という基準を採用し、独自に調整した特殊条件書を作成し、またFIDICメンバー協会を通して完全な条件書を入手可能にするという理想的な組み立ての確立を支援したことについて、称えられるべきである。

■アブダビ投資公社がFIDICを採用(Abu Dhabi investment authority adopts FIDIC

アブダビ投資公社(UAE Interact news item 参照)は、国際的なベスト・プラクティスに基づいて政府全体の組織と統制の改革の一環として、2006年初期に設立された。この公社はアブダビ執行評議会に対するより拡大された役割を担う。評議会によって委任された種々のプロジェクトを監督し、調整し、実行する中で、主要インフラ・プロジェクトに基づく経済的な発展と多様化の促進に責任をもつ。公社の最初のアクションの一つは、アブダビ総合開発計画(政府改革計画)内で使用するFIDIC契約約款とサービス協定書を認可することであった。同協定により、公社は、特別な要求事項を取り込んだFIDICの一般条件に基づいた契約書の一般条件を作成することが可能である。また、同協定は、主要市場でのインフラ投資が、バランスが取れ、よく試験され、広く認められたFIDICの契約条件に基づいていることを確実にする上での一つの主要なステップを意味する。

D.解説(Representation)
FIDICはFEPAC 2006で拡大協働について議論 (FIDIC argues for extended collaboration at FEPAC 2006

リオデジャネイロで 2006年6月4−7日に開催されたFIDIC中南米アメリカ連合 (FEPAC)の2006年会議で、CEの役割が検討された。これはラテンアメリカを横断する重要なインフラを調整する大計画を背景としている。FIDIC会長Dr. Jorge Diaz PadillaおよびFIDIC事務局長Enrico Vinkはこの議論に活発に参加した。ここでは金融モデル、最善の調達方法、公正管理および境界を越えた協働等について検討された。道路ネットワーク、給水、エネルギー供給をカバーするそれぞれ個別ではあるが境界を越えた計画に関連して、いくつかの国々は活発に活動している。各国協会間に、より緊密な協働の機会が多くある。FIDICはFIDIC会員のために、各国が国際的な専門知識、ビジネスについての助言および広範囲のネットワークだけでなく、FIDICが推奨する契約書類およびビジネス実務ガイドラインにもアクセスすることができるように、事例を準備している。この間にFIDICは、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンおよびチリ、およびエクアドルとメキシコのFIDICメンバー協会の代表との有益な会合を持った。この会議でFEPAC会長に選ばれたブラジルのアンジェロ・ビアンは、2006年9月にブダペストで開催されるFIDIC大会への招待を受諾した。


■会員数拡大活動の強化(Initiatives to expand membership to be reinforced
3年単位に再編成されたFIDIC事業計画草案(http://www.FIDIC.orgで取得可能)が、2006年9月27日からブダペストで開催されるFIDIC大会の総会での議論に間に合うようにコメントすべく、各メンバー協会へ送付された。これはFIDIC会員数および広報活動を拡大する努力の強化を目論んでいる。現在、FIDICは南アメリカおよび湾岸地域の国々、ヨルダン、ロシア、セルビア、トリニダード・トバゴおよびいくつかのアフリカの国々と会員(になる可能性について)の調査を行っている。アフリカの対象国はフランス語国(アルジェリア、カメルーン、チャド、マリ、モーリタニア、ルワンダ、セネガル)、英語国(エチオピア)あるいはポルトガル語国(アンゴラとモザンビーク)である。当面FIDICは、新賛助会員としてトリニダードのピーター・モーリスを歓迎する。

E.ビジネス実務(Business practice)
ヨーロッパの建設業者がFIDICを招待(European contractors invite FIDIC

FIDICは、2006年4月末日にチューリヒで開催された国際的に活動しているヨーロッパの建設業者の年次大会で脚光を浴びた。中心となったテーマはリスクと、それは如何にして最善に管理できるかについてであった。建設業者は、建設業が直面する挑戦と、主要な発注者が相当に減っていることについてよく理解している。また、パートナー方式契約という新しいプロジェクトの実施および調達の最善手法はホットな話題であった。建設業者は最近出されたFIDICガイド「建設における質」の中で概説されているように、建設業者の質による選定にますます興味を持ってきている。さらに、建設産業はFIDIC標準約款に相当な興味を持っている。ここでは契約約款の改訂あるいは見直しにおける現在行われている建設産業からの貢献についても議論された。FIDICのスイスメンバー協会であるUSICからのエキスパートに支援されて、FIDIC会長Dr. Jorge Diaz PadillaとFIDIC事務局長Enrico Vinkが、国際的な建設産業におけるFIDICの役割について概説した。プロジェクトの成功のためには品質、持続可能性および公正性が重要であることが強調された(共同記者発表 http://www.eiccontractors.de を参照)。

F.倫理(Ethics)
公正管理システム(BIMS)ユーザーグループ検証中(Business integrity user group being examined

FIDICの公正管理委員会のメンバーである John Richieは、同委員会からの依頼により、BIMSユーザーグループの立ち上げが、腐敗防止に取り組むためのFIDICのユニークな支援ツールを活用しようとする大きなニーズに対応しうるかどうかを調査した。ジョンの指摘は次の通りである。「公正管理は比較的新しい分野であるので、このシステムを成功裏に立ち上げて運用することは困難かもしれない。私は、そのようなシステムのよく確立された組織構造あるいは操作手順をまだ目にしていない。これは品質管理システムと対照的である。品質管理システムには多くの操作ガイドラインがあり、QAシステムの確立、操作、監査の支援を行う多くのコンサルタントを利用できる。BIMSをセット・アップして実行する人々は多くの場合「独力で」、倫理/BIMSオフィサーのネットワークを確立し、経験の共有を促進し、有効性を改善するように調整している。」
FIDIC 2005 BIMSユーザ調査に回答した会社へのジョンの手紙の全文はhttp://www.fidic.orgで取得可能である。

BIMSに関するさらに詳しい情報はwww.businessintegritymanagement.orgで取得可能である。


G.イメージ(Image)
スウェーデンでイメージ向上に成功 (Image building successful in Sweden

建設業界は、政治家や意思決定者によってしばしば完全には評価されないが、ほとんどの経済分野で重要な役割を果たしている。新しい協働的なアプローチでは、スウェーデンの建設業界はFIDICメンバー協会STDスウェーデンの相当な協力を得て、その重要性を実証することができた。FIDIC事務局長Enrico Vinkが参加したストックホルムでの最近のセミナーでは、その業績に誇りを持っている建設業界がエンドユーザへより大きな焦点を当てて見せた。メディアの反応は、新しい協働的なアプローチが評価を得つつあることを示唆している。
同日一連の催しとして開催された今年の「将来都市プログラム」の閉会式にはスウェーデンの建設大臣も出席した。アメリカでよく確立され、他の国々でも興味を増している「将来都市プログラム」は、スウェーデンで根を下ろした。これは建物とインフラストラクチャーの持続可能性を向上させるために、建設産業が学校へ活発に関与することを目指している。スウェーデンでは毎年、政府支援で学生の「将来都市」の都市建設模型のコンペが行われている。2006年の賞は、エネルギー効率をテーマとして授与された。このような活動は、エンジニアの役割について啓発するとともに、コンサルティング業界の認知度向上に大変良い機会を提供する。各国FIDICメンバー協会は同様の経験をFIDICと共有するように要請する。そうすることによって、順次、他のメンバー協会と同様の経験を共有することができる。

 

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