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セミナー・フォーラム参加報告

第3回世界水フォーラム(WWF3)参加報告

<AJCE各委員会報告>
 国際活動委員会:ペダーセン会長との懇談会報告
国際活動委員会副委員長 蔵重俊夫氏
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BIMSについて

BIMSとは公正管理システム(Business Integrity MAnagement System)のことで、我々のエンジニアリング活動における賄賂・恐喝・詐欺・談合といった不正行為を防止するためのシステムとして、世銀をはじめとした国際的金融機関からも大きな関心が寄せられているものである。BIMS分科会は藤倉分科会長のもと、同システムの我が国での紹介と普及を目的として、ガイドライン等の諸資料の邦訳など活発な活動を行っている分科会である。ペーダセン会長には、AJCE内で提起されている問題意識についての討議がなされたが、最も大きな関心事であったBIMSの認証については、FIDICとしてはBIMSの認証を必要条件と考えてなく、各企業が導入の必要性を判断すべきで、FIDICはその際の支援活動を行っているとのことであった。また、認証を求める企業はISO9001:2000にBIMSを内蔵させて認証を得ることを薦めるとの見解が示された。なお、世銀などの国際的金融機関はBIMSの導入を「好ましいこと」とするが、その評価を数量化する、または、ショートリストへの条件にするようなことはないというのが、銀行側の現時点の態度ということであった。しかしながら、国際金融機関とFIDICとの定例の隔年会議(BIMILACI)の席上では、BIMSの問題は最もホットな議題の一つとなっており、将来的にコンサルタント採用条件に反映される可能性も大きいと見ておく必要性が感じられたペーダセン会長の説明であった。

QBSについて

QBSとは品質によるコンサルタント選定(Quality Based Selection)のことで、その普及・定着を推進するQBS分科会がIACに設置され、河上分科会長を中心として大変活発な活動を行っている。当分科会が直面している最大の課題は、アジア開発銀行(ADB)のQCBS(Quality and Cost Based Selection)導入に対するモニタリング導入活動と、本年中にFIDICが公表予定のコンサルタント選定ガイドラインのレビューであり、ペーダセン会長へ活動の現状について報告を行った。ADBへのモニタリングの働きかけに関しては、既に具体的なモニタリング案を作成しており、本年2月のADB東京セミナー時にADBに内容を提示済みである。ペーダセン会長にAJCEからADBにモニタリング案を正式に提出する旨を説明したところ、会長個人としても、コンサルタントの選定はQBSであるべきとのご意見であり、ADBに対しては継続的に働きかけることは重要であるとの認識である。FIDICとしてはADBへQBS堅持の働きかけは難しいが、AJCEとしてはぜひ働きかけを継続してくださいとの激励並びに了解を頂いた。

わが国コンサルタントのマーケットについて

日本のコンサルタントマーケットに関するペーダセン会長の見解が示されたが、国内/国外業務の割合はデンマークにおいて国外25%(うち、10%が政府から)、国内75%(うち、40%が公的機関、35%が民間)であり、日本も経営の安定の観点から、国外及び民間マーケットを広げ、クライアントの多様化を図るべきではないかとの意見であった。これに対して、石井理事より日本の国外業務はわずかに5%との説明があり、本邦コンサルタントの将来的な国外展開についての問題提起がなされた。

おわりに

後日談であるが、当会議終了後に懇親会が催され、小職は残念ながら同席できなかったのであるが、ペーダセン会長は親日家の名にたがわず、日本食を何でも召し上がったそうで、日本酒もお好きなようであったとのこと。それにしても前日まで世界水フォーラムに参加され、当日の午前中に京都から東京のAJCEに移動され、そして長時間におよんだ同会議は大変であったと拝察されるが、最後までお疲れの素振りも見せずお付き合い頂いたとのことであった。会議中も我々の話にじっと耳を傾け、丁寧に言葉を選びながら率直に助言や意見をなされたペーダセン会長のお人柄に改めて敬服した次第である。最後にこのような機会を与えて頂いた藤江事務局長をはじめとしたAJCE事務局の皆様へ心から感謝申し上げます。

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