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セミナー・フォーラム参加報告

第3回世界水フォーラム(WWF3)参加報告

FIDICペダーセン会長随行奮戦記
AJCE副会長 国際活動委員会委員長 廣谷彰彦氏
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去る3月18日から20日の3日間にかけて、FIDICペダーセン会長(P会長)が世界水フォーラム(WWF)参加後に東京に来ていただいた期間、ほとんどを随行、通訳役を務めたりし、氏の精力的な行動の一端を伺うことが出来た。文章に著せられる範囲で、記録に留めたい。

1.行動概要

P会長の訪日は、今次で3回目であるが、前回がFIDIC東京大会であり、10年以上が過ぎている。15日(土)に到着後、日曜、月曜は京都でWWFに参加、18日(火)午前中に京都から東京に移動した。早速午後から、技術研修委員会・国際活動委員会合同の意見交換会に出席し、夕方は有志による歓迎会。翌19日(水)は、午前に国土交通省(MLIT)、昼食を海ほたるで過ごしたあと、午後はAJCEのその他委員会との意見交換会と夕食会。20日(木)は午前中に国際協力銀行(JBIC)、昼食を関係4協会との交歓、午後を業界関係紙による記者会見、そして夕食をAJCE幹部による歓迎会と、ほとんど休み無しで、全ての予定を消化した。精力的であり、各会合では要点を把握し、会長の立場でFIDICの意見を懇切丁寧に述べられる態度は、さすがに世界のコンサルタントを代表する組織のトップ、なかなかマネが出来ない印象であった。

各委員会等との意見交換会の内容は別のページに譲ることとして、ここではMLIT、JBIC、4協会、そして記者会見のそれぞれに於けるP会長の意見主張について、報告する。なお、FIDICのHPには、P会長の訪日報告が載せられており、その中から全体的な印象に及んでいる部分を次に紹介する。

『AJCEは非常に機能的な組織であり、簡潔にして実務的な事務局、効果的な委員会機構を有し、多くの意味で、FIDICが反映されている。会員各位はQBSの課題に、ある意味で過大とも言えるほど集中しているが、これは多くの現地の発注機関がCBSのみを取り上げている現実があり、QBSの普及が初期的段階にある現状が影響されている。多くの企業は発注者の設計事務所的存在であり、監理や運営の役割が与えられていない。日本の文化は、この様な役割分担からの変化を許さないように観察される。』

2.国土交通省に於けるP会長の主張

19日(水)09:50〜約30分間にわたり青山事務次官と、さらに継続して約50分間にわたり大石技監、門松技術審議官、北橋技術調査課長、山根国際建設技術企画官、他を合わせて約10人ほどと、AJCE都丸会長、石井FIDIC理事が参加して、意見交換を行った。

青山次官からは、過去の氏の行政経験に於けるFIDICへの理解、WWFに於けるFIDIC/AJCE活動への謝意などが語られた。P会長からはFIDICの最近の活動に係る話題、AJCEの活躍とFIDICへの貢献、我が国行政からの一層の支援の要請、QBS等が語られた。今回の参加者はいずれも技術者同士であり、特に本邦側は過去の長い年月にわたる関係を通して、良く気持ちが通っている。その様な環境の中、意見交換は予定時間を超えて和気藹々と進められた。

大石技監他との意見交換は、予定時間を大幅に超過するほどの盛況であった。特に、QBSの採用に係り熱心な討議があった。大石技監が本邦に於ける悪しき入札例、大幅な低入札、を自ら挙げ、その様な事例を抹殺しなければならないと語ると、P会長側からは、優秀なMLITの行政マンがその程度のことは必ず実現出来るはずであると理解を示すなど、興味深い展開であった。P会長はライフサイクルに於ける全投資額に比して、コンサルタントフィーをケチることによる弊害を数字を挙げて説明された。すなわち、コンサルタント費用はライフサイクル費用の中では1.5〜2%程度に過ぎないが、正しくコンサルタントを活用することによって事業者側が得ることができるメリットは、トータルな事業費に多大な影響を及ぼす。したがって、初期投資額において、コンサルタント費用がたとえ5%程度であったとしても、適切な技術力を有する者を選定することの方が、より重要であると説かれた。(本件に絡み、後日MLIT側から、AJCEでさらに調査するような要請が出ている。)話が弾み、会談後には部屋の外に認可を求める方々が大勢待っていた。

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