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2003年 FIDICフランスパリ大会

Plenary Debate-1
Maximaizing the Sustainability of Infrastructure Investment

国際活動委員会副委員長 宮本正史
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(3)Pascale Sagnier氏

持続的発展の概念は、融資政策に組み込まれている。環境汚染を引き起こした多数の事故から、プロジェクトを進めるに当たって環境への影響を考慮することが必要となった。財政的な可能性に加え、持続性が考慮されるようになった。企業への融資の際、リスクプロファイルとして環境への取り組み方が評価される。この場合、最高経営層の関与が最も重要である。企業が自ら環境マネジメントにコミットしていることが重要である。これらのことは、スイスやドイツばかりでなく、全世界の国々で考慮されるようになってきた。実例として、電力消費の図、エミッシションの図、化学薬品の表などの図表を説明。ゴミの減量やソーラー発電は利益を上げている。持続的発展はwin-win関係を創出する。

(4)Bart Jan Krouwel氏

金融界が、持続的発展に関して産業界をどのように支援できるかを説明する。持続的発展は社会を継続させる唯一の方法である。オランダ政府は、グリーン・ファイナンシングを政策としている。また、持続的発展による融資は利益を生むものである。この概念に反する企業には融資をしない。例えば、フランスの鵞鳥産業(フォアグラ)には、動物の扱い方が間違っていることから、融資をしない。このようになってきた背景には、市民が物やサービスの質にうるさくなってきたことがある。グリーンピースとも、インドネシアのパームオイルの問題で協議をした。これは政府の責任であり、金融界の責任ではないと考える。グリーンローンという制度があり、環境に優しいプロジェクトに対して、税や利率の優遇措置がある。持続性は制約ではなく、喜び、挑戦であり、また、利益を生むものである。

4氏の発表の後、会場からいくつかの質問があった。エクエーター原則について、許可やライセンスといった法的な規制との関係についての質問については、原則は法的な規制よりもより高度な基準を設定することを意図しているとの回答があった。また、原則の適用については、先進国、途上国で差をつけないとのことであった。三峡ダムに関する質問について、Lazarus氏からはシティバンクが非難されたが、世銀はこのプロジェクトに融資していないとの回答があった。中国のBao Xuding氏からはこの質問に対して回答がなかった。

3者が金融機関などからの発表であり、CEの立場での発表は中国からのものだけであった。全体を通しては、最初のLazarus氏の発表に代表されるように、金融機関からのプロジェクト融資について持続性の概念が具体的にどう組み込まれてきているかの状況説明であった。この点で、中国のBao Xuding氏の発表は、立場の違いばかりでなく、いかにも政府の公式見解発表という感じで、他の3氏とは際だって異なっていた。なお、エクエーター原則をいう耳慣れない言葉が登場したが、これについては上記のウェブサイトにアクセスして頂きたい。また、9月5日付け日本経済新聞に関連記事が掲載されている。

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